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今週の一本

●前期冷食売上高 市販用軒並み前年割れ  去石 誠一 (週刊冷食タイムス:08/06/03号)

天洋食品事件の影響大

 有力食品企業の前3月期の冷凍食品売上高をまとめた。市販用は中国の天洋食品事件を背景に、減収を余儀なくされたところが多かった。これに対して業務用は概ね増収傾向で、市販用と業務用で明暗が分かれた。これまで冷凍食品業界が経験したことのない事件の発生で、大半の企業が2〜3月は前年割れで、期末の業績が当初予想を下回った。また昨秋、今春の製品値上げによる落ち込みも否定できない。

昨秋、今春の「値上げ」も影響か
 今回まとめた17社中、市販用が前年実績を上回ったのは、日清フーズと明治乳業の2社のみ。
 日清フーズの場合、天洋食品事件が発覚する1月まで市販用は二ケタ増で推移しており、こうした「貯金」があったための増収に過ぎない。明治乳業は得意とするピザやグラタンが順調に推移したため増収となっているが、「国産の小籠包は中華メニューという理由で敬遠されたため、2月は前年の56%、3月は60%。4月は80%まで戻しつつあるが、前年割れが依然として続いている」(同社)。
 トップ集団に位置するニチレイフーズ、加ト吉、味の素冷凍食品、日本水産の各社は前年割れ。いずれも減収要因は、天洋食品事件の影響を背景としたもの。日本たばこ産業とジェイティフーズの連結ベースの冷凍食品売上高は、1月下旬の時点では5%増の400億円超(市販用6%増220億円強、業務用5%増180億円弱)を見込んでいたが、事件の影響で未達。「4月の段階で前年比50%減に落ち込んだまま推移」という報道もあり、前期の冷凍食品事業が赤字に転落したのは確実。
 業務用専門メーカーの極洋や日東ベストは増収。ヤヨイ食品、大冷、宝幸はほぼ横ばい、もしくは微増・微減での着地。大冷は主力の「骨なし魚」シリーズに限れば二ケタ増を維持。トップ集団のニチレイフーズや日本水産は増収を達成している。この他、分母は小さいがアクリフーズ、ケイエス冷凍食品、昭和冷凍食品も増収となった。

弁当アソート惣菜に大きな打撃
 市販用で最も落ち込みが大きかったのが弁当向けのアソート商材。中国で生産する「○種の惣菜」といった商材は壊滅的な状況で、2〜3月を終えている。新学期が始まった4月以降は徐々に需要を回復していると言われるが、4月、5月も前年割れが続いているところがほとんど。
 市販用を扱う各社は今上期(4〜9月)も厳しい状況が続くと判断しており「秋の棚替えまで本格的な需要回復は見込めない」という見方が多い。値上げの影響もある。

有力メーカーの08年3月期冷凍食品売上高 <本紙推定を含む、単位百万円、%は前年比>

社名
市販用
業務用
合計
トピックス・今期計画
加 ト 吉 92,000 108,000 200,000強 市販で麺類、牛肉とごぼうのしぐれ煮揚げなど好調、業務用は流水パスタ、豆腐のひき肉包み好調、中国産品不振、今期は麺・お好み焼き・フライ強化
―― ―― ――
ニチレイ
フーズ
46,600 83,900 175,300 市販調理は「からあげチキン」など重点品好調ながら全体で減収減益、業務用はチキン・コロッケ寄与、値上げ効果加わり増収増益、凍菜448億円を加え1753億円と前年並、今期大幅増益予想
92.5% 104.5% 99.5%
味の素冷食 67,700 39,700 115,000 国内2%減1074億円に香港アモイなど海外加え連結2%減1150億円、市販用4〜1月まで6%増ながら天洋事件で影響、今期市販12%増、業務9%増計画
98.0% 98.0% 98.0%
マルハニチロ食品 ―― ―― 101,100 前期旧ニチロ13.98億円増の801.08億円と増収だが旧マルハ41.85億円減の209.92億円が響く、今期は事業効率化でコスト削減と商品開発、販売強化
―― ―― 97.3%
日本水産 37,500 26,700 70,100 前期の調理冷食6億円増(0.9%増)642億円に農産品6億円減(9.2%減)59億円を加え701億円、粗利0.2%減、今期19億円増の715億円を予想
98.4% 104.7% 100.0%
極  洋 ―― 41,166 41,166 冷凍食品売上高(単独)の内訳は、調理品150億2900万円(2.6%増)、農産品11億8000万円(13.7%減)、水産素材・加工品他249億5700万円(19.7%増)
―― 111.7% 111.7%
日東ベスト ―― ―― ―― 冷食売上高は前年を上回った
―― ―― ――
ヤヨイ食品 ―― ―― ―― 冷食売上高は前年をわずかに下回るが、ほぼ前年並み。上期は苦戦したが下期に盛り返した
―― ―― ――
日清フーズ ―― ―― ―― 下期は1月末まで二ケタ増で推移していたが、天洋食品事件や値上げの影響で前年割れ。6月からテレビスポットCMや交通広告で需要喚起を予定
104.0% ―― ――
アクリフーズ 27,900 7,000 34,900 市販用も1月まで5%増ペースで推移していたが、天洋食品事件の影響でダウン。ピザは昨年秋と今春の値上げなどで87%に止まる
100.0% 111.0% 102.0%
大  冷 ―― ―― ―― 主力の「骨なし魚」シリーズが予想上回り二ケタ増を維持、その他調理品は前年割れでトータル微増収となった模様
―― ―― ――
明治乳業 ―― ―― ―― 市販用は主力のピザ0.9%増、グラタン(カップ込み)3.7%増と順調。業務用は不採算商品のアイテムカットでこの数年減少が続いている
102% 66% 102.6%
日本製粉 ―― ―― ―― 冷食事業は前年を上回った。市販用パスタのプレミアムシリーズが好調を続けている
―― ―― ――
日清食品 ―― ―― ―― 冷食・チルドが7.5%増443億6900万円、冷食単体では減収
―― ―― ――
ケイエス冷凍食品 4,485 5,687 10,172 市販用で改訂「鶏つくね串」好調、肉だんご等不振、業務用は豆腐製品と肉だんごタレなしが好調、今期は6.2%増108.01億円を計画、原価高を予想
90.9% 102.6% 97.1%
宝幸 ―― ―― ―― 天洋食品事件後、中国での輸出検査強化の影響で一部商品に遅れがでた。4月の価格改定がほぼ定着したものの、すり身、鶏肉の高騰で再検討
―― 100.0% 100.0%
昭和冷凍食品 ―― 2,560 2,560 コンビニ・外食向けのたこ焼き・ケーキ類などスナック商品の販売数量が伸び売上げが久々に前年を上回る
―― 102.3% 102.3%

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