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今週の一本

●母船式捕鯨を未来へつなぐ  松田陽平 (週刊水産タイムス:24/04/08号)

「関鯨丸」関係者にお披露目

竣工した「関鯨丸」、
鯨食文化の発展に寄与する
所社長
前田市長(中央)が乾杯の音頭をとった
 共同船舶(東京都中央区、所英樹社長)が山口県下関市の旭洋造船で建造していた捕鯨母船「関鯨丸(かんげいまる)」がこのほど竣工し、船内見学会と竣工記念パーティーを下関市内で3日開催した。地元議員や行政、捕鯨関係者など約130人が参加し、73年ぶりとなる国産の捕鯨母船の建造を祝うとともに、未来につなげていく捕鯨文化への思いをひとつにした。
 竣工記念パーティーで所社長は「関鯨丸」の竣工について「少なくとも30年間は鯨肉を供給する術を獲得した。前の日新丸は建造から37年間操業し、最後の航海ではボロボロの状態だったが、無事操業を終えることができた。今年、関鯨丸が完成しなければ、沖合母船式捕鯨の幕が閉じるところだった。次の世代にも沖合母船式捕鯨を未来永劫につないでほしい。私や妻が死んだら、遺骨は関鯨丸から海へまいてほしい。そのくらいの心意気で建造した」と感極まりながら未来への思いを語った。

竣工に沸く 鯨の街・下関/鯨食文化の発展に期待

 来賓の江島潔参議院議員は、下関と捕鯨の深い関わりなどについて紹介。「造船都市・下関で捕鯨船を造り、下関が引き続き母港となり、鯨の街を21世紀につなげていくことが念願だった。あとはしっかりと鯨を食べ、食文化として若い人たちにも定着させていくことが最大の使命。21世紀の新しい鯨食文化時代を迎えることを願っている」と喜びを語った。
 前田晋太郎下関市長は「多くの方のお力添えを頂き、鯨の街・下関がより本格的にスタートすることをうれしく思う。鯨の街・下関をさらに前へ進め、鯨を愛する人を一人でも多く獲得し、捕鯨の振興につなげていきたい」と乾杯の音頭をとった。     
 パーティー後半には、日本捕鯨協会の山村和夫理事長や日本鯨類研究所の藤P良弘理事長、旭洋造船の越智勝彦社長、竣工記念のオリジナル楽曲「ビヨンド・ザ・ディープオーシャン」の制作に係わった山羽教文氏がインタビュー形式で「関鯨丸」完成への思いや期待について語った。

環境にやさしい電気推進システム採用

 「関鯨丸」は総トン数約9100t、全長約113m、船幅21mの大型船。CO2排出量が少なく環境にやさしい電気推進システムを採用した最新鋭の設備と機能を備えている。
 捕獲した鯨を引き上げるスリップウェイは、斜面の角度を従来の35度から18度に緩くしたことで、最大70tのナガス鯨でも容易に上げることができる。室内で解体・細割作業を行うことで衛生管理の向上、生産部員の作業環境などを整えている。解体作業を行うデッキも日新丸と比べて広く、幅15m、長さ65mを確保し、皮剥・解体・細割作業を効率的に行うことができる。
 解体デッキ下には、20フィートの冷凍コンテナを40個搭載しており、コンテナごとに冷却することで消費電力を抑え、省エネにつなげる。乗組員の定員は100名で、居住性を高めるため個室を完備している。

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