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この人に聞きたい:第1009回
(週刊冷食タイムス:25/12/02号)

グローバルに「麹」広げる

ハナマルキ(株) 上席執行役員  坂巻 柔氏

(さかまき・やわら)2019年ハナマルキ入社テクニカルサポート室部長代理。20年ハナマルキタイランド代表、サイアムハナマルキ代表、22年ハナマルキ上席執行役員就任。1967年4月生まれ、58歳。

液体・パウダーの塩こうじに脚光

 ハナマルキの液体塩こうじや熟成こうじパウダーが国内外で注目され、浸透し始めている。塩こうじ事業の海外展開を指揮する同社上席執行役員、タイ子会社代表の坂巻柔氏にグローバル展開の現状を聞いた。

 ――欧州でも展開している。
 坂巻 北欧の大手製パンメーカーがタイ工場(サイアムハナマルキ)製の液体塩こうじを採用しています。グレイン比率80%のパンでも麹の力でしっとりとした食感を実現できるからです。欧州では添加物を避ける傾向が強いため、液体塩こうじは製パン改良剤の代替として注目されています。パンの膨らみや保湿性を高めるだけでなく、スイーツの甘みを増す用途でも活用されています。

 ――こうじパウダーの評価は。
 坂巻 世界中の食品メーカーから高い評価をいただいています。加熱によって生成されるメラノイジンが乳風味やスパイス感を強化し、チーズスプレッドやカカオ飲料などで原料使用量を削減しながら風味を向上させるエンハンス効果を発揮します。原料高騰が続く中、コストダウンと品質向上を両立できる点が大きな強みです。

 ――今後の市場展開について。
 坂巻 インド市場への参入を進めています。インドは一人当たりGDPでは見えにくいですが、富裕層の人口が多く購買力の高い層が集中しています。ムンバイやデリーの高級レストランやスーパー向けに展開しており麹製品の評価は非常に高い。今後の成長市場として大きな期待を寄せています。

 ――麹文化を世界に広げる旗手として、展望は。
 坂巻 「麹」という言葉自体が世界で注目され始めています。ナチュラルで機能性が高い発酵素材として、今後さらに広がっていくと確信しています。「酵母発酵液体塩こうじ」の製造にも取り組んでおり、台湾、中国、インドネシアで特許を取得済みです。酒精を添加せず酵母発酵でアルコールを生成する「二段発酵技術」はハラル対応の鍵であり、イスラム圏やEU市場でも競争力を持つ製品となっています。

 ――液体塩こうじ専用工場のタイ工場の現状について。
 坂巻 FSSC22000、BRC、ハラル、コーシャ、NON‐GMOなどの国際認証を取得済みです。工場長は現地スタッフから昇格したフォン氏。初の女性工場長として次世代幹部育成にも力を入れています。原材料や電力コストの高騰にも対応し、生産効率の改善と価格転嫁の抑制に取り組んでいます。稼働率は高く、増設も検討中です。

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