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この人に聞きたい:第930回
(週刊冷食タイムス:24/04/23号)

価格改定の市場定着が課題

ミツオ業食流通会 会長  青木 基博氏

 

我々の「存在価値」高めていこう

 名給を核とする二次卸の組織「ミツオ業食流通会」が名古屋市で12日開催した総会で、青木基博会長(=名給社長)は以下の様に挨拶した。
   ◇
 世の中は依然として争いごとや自然災害、事件・事故など不安要素が多く、落ち着かない状況が続いている。
 日本では人手不足がいっそう深刻な問題となり、賃上げを煽る国側と、コストアップによる経営難を感じている中小企業との感覚のズレが不安につながっているのではないだろうか。
 新年度に入り、新制度の開始や制度の変更もあり、変化への対応にも労力とコストを必要とする状況となっている。
 2024年問題と言われる、時間外労働の上限規制が本格的にスタートした。
 これは物流の問題だけでない。医療関係でも医師の労働時間短縮によって患者の受け入れ数が減る可能性があると思う。我々にとってはそれ以上に多方面で厳しさが増すことが予測される。
 このところの人件費高騰や原材料の高騰、様々な要因からくるコストアップをどのように価格転嫁していくかが事業存続の鍵となっていくことは言うまでもないが、現状では業務用食品流通において価格改定をどう市場に定着させるかが課題と言える。
 川上から川下への一方的な流れだけでは解決しない。一緒になって市場を再構築していくことが重要と考える。
 それぞれの業態にはそれぞれの特性があり手法も異なる。そこを無視してはいけない。したがって再構築には時間も労力もかかる。
 学校給食では体の発育、食事の重要性、食品の大切さ、栄養バランスとその摂取、集団行動における役割分担など、食育としての大切さがある。これを重視して学校給食の在り方を考えるべきで、予算に左右されてはいけない。
 メディカル給食は栄養摂取方法や、咀嚼嚥下など食事条件への対処によって介護の一翼を担う。
 産業給食は社員の健康管理につなげて能力を発揮してもらうための元気の源としての役割がある。
 外食・惣菜では安全安心でおいしく満足度の高い食事の追求などがある。
 食材の価値だけでなく、それぞれの「食の役割」が発揮されるための環境を整えていく必要があるということだ。まさに我々もエッセンシャルワーカーの一員としての存在価値がもっと重要視されるべきだろう。
 そもそも業務用食品流通は川上から川下までが連携して、波をゆるやかに安定させながら進めることが特性であり、本来の取り組みと言える。そして市場価値を高めながら自分たちの存在価値も高めることをめざすことが重要と考えている。
 食材費、光熱費、物流費、人件費など食事のコストがほとんど上がっている中で、今までと同じことを求めるのは無理がある。
 したがって価値観を変えながら新しい手法を構築するしかないと思っている。
 課題は@一人当たりの生産性を上げるAテクノロジーの活用による効率性の向上Bチームワークの発揮による対応力の強化C仲間との連携による問題解決のスキルアップだ。
 当会はこうした問題・課題への対応を会員相互の経営研究により、最善な方法を模索しながら健全経営につなげて行くことを目的とし、業務用食品の開発、販売に関する市場調査や販売促進、メニューの研究、物流品質の改善、交流による人材育成など、総合的な成長に向けて取り組んでいきたいと考えている。
 昨年は政策に「シン・価値提供 シン・時代経営」を掲げ、「信頼交流 和気あいあい」という運営指針のもと、激変する環境の中、様々な価値を創出して時代に合った経営をめざし、研修会や情報交流会、企業訪問などを行ってきた。
 TORIO企画委員会においてはTORIOブランド商品の開発や物流問題・ITの活用に向け検討してきた。
 2024年は各々では解決できない問題や、新しい付加価値の創造に向けて、仲間とともに力を合わせて取り組み、それぞれの存在価値を高めることで各部会員の経営改善につなげていけるよう、各部会の垣根を取っ払い、エリアを超えた交流を開催していきたいと考えている。
 各会員には積極参加できる体制づくりに取り組んでいただきたい。

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