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今週の一本

●中国産ウナギの復権を  松田陽平 (週刊水産タイムス:08/09/08号)

輸入組合「不正排除」を確認
値ごろ感を追い風に消費拡大

 日本鰻輸入組合は「08年夏の総括会議」を都内のホテルで3日開催し、業界全体に大きな影響を及ぼす産地偽装が多発した前鰻年度(07年9月〜08年8月)を振り返るとともに、大幅なウナギ不足が予想される今期の動向や、消費者の信頼回復に向けた取り組みなどを話し合った。森山喬司理事長は「落ちるところまで落ちた。不正な行為に対して、今後は『やらない・許さない』という強い姿勢が必要。消費者の信頼回復に向け、業界全体が生まれ変わるべき。(シラス不足の影響で)大減産が予想される来年に向けて、襟を正し、胸を張って進んでいきたい」と組合員に呼びかけた。

 前鰻年度の中国産蒲焼きの輸入は、8月の輸入を1000tと推定すると1万4400tと前年度比36%と大幅に減少した。
 繰り越し在庫を潤沢に残した状態でスタートした前鰻年度だが、今夏の国産蒲焼きの高値の影響で、国産の半値以下の中国産蒲焼きの在庫消化は思いのほか進んだようだ。
 「500円以下での店頭売価、300円以下での特売など、様々な売り方ができた中国産蒲焼きの存在感を若干でも印象づけたのではないか」と加工部会は報告。前鰻年度の繰り越し在庫(8月末時点)は「5000〜7500t程度ではないか」と見られている。
 また、中国の加工場の疲弊度の大きさが懸念されている。日本からの注文が激減し、ほとんどの加工場が稼働停止の状態。「危機的な状況にある」という。
 一部組合からは「ここまで在庫が減少しているのに、価格は国産の3分の1。今年度は2万5000tの輸入を目標に、業界全体で取り組まなければ、どんどん減少してしまう」との意見も出た。
 国産ウナギの品薄状態は今期も続き、来夏は今年以上の高値(キロ1000円以上の上昇)が予想されている。
 「中国産にとって追い風が続いている。国産ほどの値上がりはないと見込まれ、末端での値ごろ感を訴求できる価格帯で販売ができるだろう」と来夏に向けての販売に期待している。
 一方、活鰻の動向を見ると、前鰻年度の活鰻輸入量は中国産・台湾産合計で前年度比2割減の1万7000tと6年ぶりの2万t割れとなった。ウナギ専門店への販売が主体の輸入活鰻の今夏の売れゆきは好調だったようだ。
 価格が堅調だった台湾産に比べ、中国産活鰻の需要が伸びた。「中国産の品質に対する評価は高く、市場が拡大した」という。また、「国産活鰻の需要は高かったが、品薄で輸入活鰻へのシフトがかなり進んだ」「うな丼の売れゆきは好調で、輸入活鰻も不足した。物があれば、もっと売れたはず」と専門店を中心とした最盛期の活鰻需要は旺盛だった。
 輸入ウナギの安全性確保や消費者向けのPR活動についても意見が交わされた。
 森山理事長は「消費者に対して輸入ウナギの良さ、現状を伝える活動が必要。年末までにメディア向けの勉強会の開催などを検討したい」と述べた。また、台湾産ウナギの命令検査解除に向け台湾側と協議することや、輸入業者への負担になっている検査料の引き下げなどを政府に働きかけていく方針を示した。

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