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今週の一本

●下期の逆風厳しく  井出万寿男 (週刊水産タイムス:09/05/18号)

大手水産4社の前3月期

 大手水産4社の前3月期決算が出揃った。水産商事は年度当初、順調な滑り出しを見せたものの、9月のリーマンショックを境に様相が一転。国内不況が深刻化し、「天国と地獄を味わう1年」(福井清計極洋社長)となった。最終の当期純利益は極洋が増益、ニチレイは減益となりながらも黒字を計上したが、マルハニチロと日本水産は大幅な純損失となった。

事業のシェア拡大
マルハニチロ

 マルハニチロホールディングスは売上高、営業利益とも伸びたが、株価の下落に伴う投資有価証券評価損(73億5000万円)など130億円の特別損失があり、当期純損失となった。
 水産セグメントは、売上高5777億円で前年比1.1%減、営業利益は88億1300万円で2.7%増。海外えび合弁事業と国内カンパチ養殖の市況が低迷。北米事業はスケソウダラ漁獲枠が縮小された中で、国内外の市況が堅調に推移して増益。水産商事は世界同時不況で“買い負け”から一転し、国内への水産物搬入が集中する中で価格低下が起こり、タコ、マグロを中心に収益が悪化した。
 食品セグメントは、前年は半年分しか入っていなかったニチロ分が通期で寄与したことや、事業再編などによるコストシナジー効果で、売上高2912億円で24%増、営業利益は89億円で43%増。
 保管物流セグメントは、上期が中国産加工品の輸入減少、下期は景気低迷による荷動きの停滞で厳しい事業環境だったが、畜産、冷食の集荷に取り組み増収増益。

海外の不振が直撃
日本水産

 日本水産は売上高が5052億円で前年比5.4%減、営業利益は31億5600万円(56.3%減)を計上したものの、12億2200万円の経常損失、162億円の当期純損失を計上した。配当は年間10円を継続する。
 北米のキング&プリンス社、チリのサルモネス・アンタルティカ社の不振や、日本での在庫評価損が直撃した。海外子会社における「のれん」の償却、インフレーション会計の適用除外に加え、ドル建て借入金の為替差損も大きく響いた。
 水産事業は売上高2024億円(前年比284億円減)、営業利益3億2300万円(同3億1400万円増)。
 食品事業は売上高が2521億円でわずかに増収となったが、中国製品の不振などで11億6000万円の営業損失(前年比27億8800万円減)。
 物流事業は上期の輸入減少、下期の荷動き悪化、さらに冷蔵倉庫の増設による経費増で減収減益。ファイン事業も医薬原料の販売数量が減少したことや、鹿島工場の増設部分の稼働の遅れで減収減益となった。
 今期予想は売上高5100億円、営業利益120億円、経常利益100億円、当期純利益50億円。

ニチレイ水産事業が黒字化
極洋は水産商事・食品事業とも増益

天国・地獄を経験
極洋

 極洋は、売上高が前年比ほぼ横ばい、営業利益は29億8100万円で1.9%増、経常利益は28億7300万円で1.1%増、当期純利益15億8700万円(前年比6.0%増)で増益となった。配当は一株当たり5円を継続。
 水産商事は上半期と下半期で事業環境が一転した。上期は市況が堅調に推移した中で、ホッケなどの北洋魚やサケ・マスを中心に拡販。過去最高の利益を出すほどの勢いだったが、下期に入って急激な為替変動や世界的不況に伴う消費不振で売上げ、利益とも極端に伸び悩んだ。
 エビなどの付加価値製品の開発・拡販に努めた結果、通期は売上高が686億円と2.8%の減少となったが、営業利益は8億7100万円で66.5%と大幅に増加した。
 加工食品は売上高542億円(1.6%減)、営業利益10億5500万円(65.6%増)。
 調理冷凍食品や水産冷凍食品は前年の売上げを下回ったが、関係工場の生産体制の効率化やコスト上昇分の販売転嫁が進んだことで利益は前年を上回った。常温食品はカツオ、マグロ、サバなどの魚介缶詰の拡販と海産物を主体とした珍味メーカー、ジョッキの子会社化で売上高、利益とも前年を上回った。
 物流サービスは売上高62億2300万円(13.7%増)、営業利益5億2200万円(24.5%増)。冷蔵倉庫事業は堅調だったが、冷凍運搬船事業は為替相場と燃油価格の乱高下で減益。
 鰹鮪事業は売上高183億円(11.8%増)、営業利益8億7500万円(34.2%減)。海外まき網事業は上期にカツオ相場が堅調に推移したため増益となったが、燃料代で利益は減少した。
 今期は売上高1600億円、営業利益34億円、経常利益33億円、当期純利益18億円を計画。

低温物流が堅実
ニチレイ

 ニチレイは増収減益。鶏肉が大幅に伸び、国内外で低温物流事業が順調に推移した。水産事業が6期ぶりに営業黒字化。製品・原材料の調達コスト上昇やアセロラ飲料の不振、畜産事業の採算悪化などにより営業利益、経常利益とも減少。リース会計基準適用に伴う影響額や固定資産除却損など特別損失を計上し、当期純利益も減益となった。
 加工食品事業はわずかに減収。冷食市場全体が落ちこむ中で健闘したが、アセロラやウェルネス食品が伸び悩んだ。原材料調達コストは前年比100億円アップ。営業利益は20億円と半減。
 水産事業は760億円と1.9%の増収。エビ加工品や寿司ネタなどの主力商材の販売に注力したことが奏功した。また、調達と営業部門の一体化や事業所の集約による組織改正で経費削減。営業利益は2億7500万円(前期は4億5500万円の損失)と黒字化を実現した。
 畜産事業は増収も営業損失。「評価損を含めブラジル産チキンだけで8億円の損失」(同社)。低温物流事業の売上高は2.6%増の1423億円。営業利益は3.2%減の82億円。物流ネットワークは順調だったが、前半の燃油サーチャージによる負担増が響いた。海外事業は外貨ベースでは増収増益だったが、ユーロ安の影響を受け、前年並みの売上げ。

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