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今週の一本

●日本の漁業者のための認証制度
大日本水産会 MELジャパンを推進へ  辻雅司 (週刊水産タイムス:10/06/14号)

優れたコストパフォーマンス
国際基準に合致 営利主義でないエコラベル

 大日本水産会は、2006年に設けた水産エコラベル制度「マリン・エコラベル・ジャパン(通称MELジャパン)」の認証拡大に取り組んでいる。消費者をはじめ世界の人々から、野生の生物である水産資源の持続的な利用や生態系の保全に関心が高まっていることから、生産者である漁業者を支援し、かつ消費者をはじめとする関係者に水産資源の持続的利用や海洋生態系保全活動への積極的な参加を促進することを目的に普及を図っている。

 [制度の特徴]
 この制度の特徴はFAOが2005年3月にローマで採択されたエコラベルのガイドラインの考え方に沿った制度となっており、広く国際社会に受け入れられるように配慮されている。また、漁業生産及び漁業資源管理活動に独自の長い歴史を有する日本の漁業の実態を踏まえ、漁業者及び関係者の認証ラベル取得にかかる経費負担をできる限り抑制し、我が国の資源管理の特徴や優れた点を十分に反映した合理的な制度となっている。つまり、日本の漁業者の実情・実態にマッチした優れたコストパフォーマンスで国際基準に適合したエコラベル認証制度となっている。
 特にMELジャパンは、認証を目的としており、営利団体ではないことが大きな特徴。このため、派手なキャンペーンは行っておらず、純粋に日本の漁業者のための認証を地道に行う機関であると言える。
 
生産者段階と流通加工段階 2つの認証

[制度の仕組み]
 MELジャパンの認証は組織の外部に独立した審査機関を設けている。審査機関は申請者と独立し中立・公平な立場で精度の高い審査を行う。

[認証の種類]
 認証には、生産段階認証と流通加工段階(COC)認証の二つの認証がある。生産段階認証とは、漁業が持続的であることの認証である。生産段階認証の基準は、(1)確立された実効ある漁業管理制度の下で、漁業が行われていること(2)対象資源が持続的に利用される水準を維持していること(3)海洋生態系の保全に適切な措置が取られていることである。
 流通加工段階認証とは、生産段階認証を受けた水産物が、最終製品として消費者に届くまで、認証された水産物以外の水産物が混入がされてないことの認証である。流通加工段階認証の基準は、(1)トレーサビリティーが確保されていること(2)対象水産物以外の水産物の混入、混在が防止される管理体制があることである。
 この二つを満たすことにより、持続的な漁業で獲られた水産物が、最終製品となって、他の水産物と混ざることなく、消費者に届くことになる。
 生産段階の認定期間は5年間、流通加工段階の認証は3年間となっている。

[業種別団体等]
 MELジャパン制度でユニークなのが業種別団体等の存在がある。制度や活動に賛同し、積極的に参画し、普及、情報の交換等を行うために業種別団体等を募る。これは水産業の既存の枠組みの中に、エコラベルという新しい制度を通じて資源管理に貢献し、業種別団体にも制度の意義を増し、資源管理意識の向上につなげ、水産業界の活性化に役立てようというもの。

[ラベルの添付と管理]
 生産段階認証を受けた者がラベルを製品に添付しようとする場合、流通加工段階の認証基準を満足した場合に、販売単位またはロットごとにラベルを付けられる。ラベルの印刷等の費用は、認証を受けたものが負担する。 

世界でも有数の水産物認証
続々と認定取得する国内漁業者

[ラベルの添付] 
 また、ロゴマークの使用は(1)消費者向けのもの(2)消費者向けでなく、大容量包装や外食向け、さらにはインターネットなど「企業が使用する」もの(3)商売とは関係のない非営利団体利用(メディア)であるもの――などがある。
 このうち、消費者向けでは(1)ロゴマークを表示し、認証水産物であることを強調する。(2)流通加工認証を合わせて取得することで、水産物のトレーサビリティが確保される。(3)消費者に正しく扱われている水産物であることを認証する――などが挙げられる。

[認証を受けている事例]
 (1)日本海ベニズワイガニ漁業
 (2)静岡県由比漁協及び大井川町漁協のサクラエビ
 (3)青森県十三湖シジミ漁業
 (4)愛知県いかなご船びき網漁業

[その他、世界の水産物のエコラベル認証]
 水産物のエコラベル認証では、MSCが欧米を中心に先行しているが、各国ではFAO主導の対応に沿う形のものから独自に漁業評価するものまで、様々な制度がある。これらとしてはMSCと競っている「フレンド・オブ・シー」「世界水産養殖同盟」「シーフート・ウォッチ(モントレーベイ水族館)」「フィッシュ・ウォッチ」「アイルランドの責任ある漁業ラベル」など。MELジャパンもこうした世界の水産物のエコラベル認証の一翼を担うものとして、日本における存在意義は極めて大きい。

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