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今週の一本

●パカっと開く回転寿司  橋本武寿 (週刊水産タイムス:11/12/05号)

くら寿司、鮮度保持のキャップ開発

「鮮度くん」を手にする田中社長
 くらコーポレーション(大阪府、田中邦彦社長)は、新タイプの衛生的な寿司キャップ「鮮度くん」(特許申請中)を開発し、同社が全国展開する回転寿司チェーン「無添くら寿司」の全286店舗に約3億円をかけて導入した。

飛沫物や雑菌・ウイルスを防ぐ

 くらコーポレーションが開発した「鮮度くん」は、上部に透明度の高いキャップ(ポリカーボネート樹脂)、下部に丸テーブル状のプレートを組み合わせたもの。支柱は1カ所で、口がパカっと簡単に開く仕組み。キャップに触れず皿を取り出せる
 丸テーブル状のプレートに皿を置くと閉じ、皿をつまみ上に若干傾けるとキャップが自然と開く。これで寿司がカバーされ、飛沫や空中浮遊するウイルスを防ぎ、衛生管理を徹底できる。寿司キャップに触れずに皿を取り出す技術は、国内寿司チェーン業界で初めて。
 同社では「鮮度くん」を1店舗に約500個ずつ、10月上旬から11月25日にかけて全店舗に配備した。1店舗あたりの導入費用は約100万円。毎日の洗浄で衛生を保てる。
 田中社長は「鮮度くん」の導入経緯を次のように説明している。
 「雪印乳業は2001年に食中毒事件を起こし、大企業でありながら、社会からその名が消えた。食中毒で問われる企業の社会的責任は大きい。回転寿司業界は5000億円市場になったと言われ、その原型の7〜8割は当社が築き上げたと自負している。その半面、食中毒事件が起きれば回転寿司業界は死ぬだろう。
 不特定多数のお客さまが出入りする店舗で、ウイルス感染を防ぐことは至難。当社は昨年、食中毒を起こしたと疑われる事件に巻き込まれた。食材や従業員の健康状態などを徹底的に調べたが、疑われる原因はみつからなかった。飛沫物や空中に浮遊する雑菌が寿司に付き、身体の弱い喫食者において発症したと考えられる。これを防ぐ手立てはないかと苦心し、寿司キャップの開発に至った。
 20年前は寿司キャップが当然だった。米国では現在も、寿司にカバーをかぶせなければ営業許可が下りない。では、なぜ日本で寿司キャップが廃れたのかといえば、従業員や来店客など不特定多数の人が触れるタイプの寿司キャップのため、かえって衛生管理が行き届かなかった。そこで、人が触れずにキャップが開く方法を思案した」。

開発のヒントは野鳥捕獲の装置

 「かごを棒で支え、その下に米を置き、野鳥を取る遊びが昔あった。これをヒントに、寿司皿を取り出す際に自然とキャップが上方に開き、自然と閉じる『鮮度くん』を開発した。
 これからインフルエンザが流行るシーズンが到来する。その前にと全力を上げ、10月初旬から1カ月半をかけて全店に導入を終えた。『鮮度くん』は回転寿司に限らず、例えば、バイキング料理の提供方法も変えると思う」。

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