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今週の一本

●希望への一歩  井出万寿男 (週刊水産タイムス:12/01/01号)

復興に向け、確かな足取り

東北の被災地を訪ねて
 東日本大震災から約10カ月。東北地方の被災地は、気の遠くなるような復興への長い道のりを懸命に歩み続けている。
 甚大な被害を受けた石巻漁港(宮城県石巻市)は、仮設の荷さばき場が昨年11月に完成。応急テントから引っ越し、毎朝のセリも徐々に活気を帯びてきた。ただ、20万t近くあった市内の冷蔵倉庫が震災でほぼ壊滅状態となったため、現在、水揚げされるのは鮮魚のみ。「数量的には以前の2割程度」(石巻魚市場・須能邦雄社長)に過ぎない。
 それでもヒラメ、タコ、ヤリイカ、アナゴ、アンコウ、カキ、アワビと三陸の海の幸の種類は豊富。完成した仮荷さばき場は3棟づくりで延べ28m×224m。岸壁の整備も含めた新漁港が完成するまで、地元の水産物供給拠点としての役割を果たす。
 冷蔵倉庫や水産加工会社が復活すれば、水揚げされる魚の種類や量も増える。現在は、風評被害もあり、八戸や銚子にシフトしているが、元々、石巻はそれらと肩を並べる東北地方屈指の有力漁港。
 対応が立ち遅れる行政への批判も、むなしさが先に立つようになってきた。関係者の誰もが口にするのは「とにかく復旧を急がなくては……」。
 地盤沈下、がれき、二重債務……様々なハンディを背負っての、地元の挑戦はなおも続く。

仮荷さばき場が完成
 石巻魚市場に仮荷さばき施設が完成。東北の有力漁港としては、水揚げ数量がまだ少ないものの、魚種は豊富でセリの表情にも以前の輝きが戻ってきたようだ。
 

作る喜び 改めた実感
マルハニチロ食品石巻工場
 マルハニチロ食品の数ある生産拠点の中で、屈指の生産性の高さを誇る石巻工場(山口龍一工場長)。石巻市門脇町の旧北上川の河口近くにあるため、震災では襲いかかる巨大津波の前に、奇跡的に助かった一部建屋を除いて壊滅的な被害を受けた。
 かつては30品目を超える冷食を生産していたが、現在は残された工場の1ラインで市販用冷食の主力3品に限定して生産を再開。震災前に比べれば仕事量は大幅に減ったが、今は一つひとつの製品に心を込め、作る喜びを実感している。

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