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今週の一本

●冷食の二重価格問題  去石誠一 (週刊冷食タイムス:13/05/21号)

冷食が売れなくなった

消費者買い控え「割引なしでは高い」

 消費者庁が市販用冷凍食品の価格表示について「景品表示法に違反するおそれがある」として、小売業者12社に行政指導した4月下旬以降、メーカー側から「これまでの半額表示をやめたスーパーでは消費者の買い控えが起きている」、「スーパーから(売上げダウンの)打開策を求められている」という声が出始めている。その一方で、「大型連休明けから販売が鈍ってきたという感覚はあるが、消費者離れを分析させるような具体的な数値が表れるには至っていない」(メーカー)、「4月、5月と売上げがダウンしている事実はない」(問屋)というところも少なくない。製販三層で一致しているのは「冷凍食品のイメージダウンによる消費の減退は避けたい」であり、しばらくは試行錯誤の混乱が続きそうだ。

 消費者庁の見解は「希望小売価格やメーカー小売参考価格から○割引○円と記載することは一般消費者が安いかどうかを判断する情報にはなりえない」というもの。冷凍食品の二重価格問題が報道されると、スーパー各社の経営トップが「うちの表示は大丈夫か」と総点検を開始。これに担当バイヤーがすぐに反応し、値引き後の価格のみを表示する「ジャストプライス」に変更したスーパーが少なくない。あるスーパーでは表示方法に問題がないことを確認した上で「メーカー商談時決定価格の○割引き」という表示に切り替えた。

 もちろん「5割引」、「半額」を打ち出したままのスーパーもたくさん残っている。実際の売価を比較する基となる価格が、きちんと根拠のあるものであれば問題はないからだ。例えば、「当店通常価格の○割引」という表現も、通常価格での販売実績があれば問題はない訳で、割引セール自体を非難、禁止する指導ではない。しかしテレビや新聞で価格表示問題が取り上げられると、消費者からは「なぜ半額セールができるのだろうか」という不信感が生まれたのは事実。

 ある問屋は「冷凍食品の二重価格問題が報道された後、販売がジワジワと下がり、10数%ダウンで推移している」と語る。また、半額表示を中止したスーパーでは「売場のインパクトが薄れて、冷凍食品の売上げがダウンした」ところもある。こうしたスーパーからは「売上げ減少の打開策を示して欲しい」という要請が問屋やメーカーに寄せられている、という情報もある。ネット上のブログなどでは「やっぱり本当は半額じゃなかったんだ」、「半額という値段が、他店よりも高い」といった情報が溢れ、消費者の不信感を招いてしまっている。

 価格表示の在り方が問われる中で、「業界の価格構造を改善するチャンスだ」と捉える見方もある。ただ実際は、半額実施店から「通常販売時にも納入価格を半額にして欲しい」と要求がエスカレートしたほか、「納入条件の見直しを迫られた」というケースもある。激化する価格競争の中で、製販三層がそれぞれの利益を最優先すれば「力の大きな川下がひとり勝ちとなり、産業としての魅力が消滅してしまう」と危惧する声は無視できない。

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