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今週の一本

●値上げ本番、製販の攻防続く  去石誠一 (週刊冷食タイムス:13/07/23号)

 今年は梅雨明けが例年よりも早く、気温35℃を超える酷暑日が続いている。厳しい暑さに加えて、冷凍食品メーカーを悩ませているのが価格交渉。年初来の円安や原材料高などによるコストアップで値上げは不可避だが、来年春に予定されている消費増税を控えて小売店や業務用ユーザーの反発が強い。マヨネーズ、パン、ハムなどの食品値上げが断行される中で、冷凍食品は遅れをとっている。新商品が市場に出回る9月前に、どこまで値上げを浸透させられるかで、製販三層の利益が大きく違ってくるのは間違いない。

 昨年末以降、急激な為替相場の変動が冷凍食品業界を直撃している。タイや中国など海外で生産する商品は過去数年間、現地の人件費アップや原材料高などで生産コストが上昇を続けていた。大幅な値上げなしに継続してこられた背景には、1ドル70円台まで進んだ円高があり、コスト上昇分は為替で吸収してきた。

 マルハニチロ食品の坂井道郎社長は「昨年12月に1ドル84円のレートで予算を組んだ時点で、22億円のコストアップを予想。ところが、年が明けると1ドル100円に円安が進み、さらに18億〜19億円のコストアップとなり、トータル40億〜42億円ものコスト増。緊急性の高いものから値上げし、9月までには価格改定を済ませたい」と語る。

 タイや中国など海外で生産し、国内販売する冷凍野菜や調理冷凍食品はどこも事情は同じ。味の素冷凍食品は市販用輸入凍菜19品を8月1日、調理品7品を8月20日から値上げに踏み切る。また日本水産は「市販用の価格交渉はほぼ完了し、9月から輸入品を中心に値上げする」と発表している。アクリフーズも市販用は8月下旬出荷分から対象23品を平均10%値上げする。ニチレイフーズは市販用・業務用とも輸入チキン製品と冷凍野菜を値上げする。

 各社の価格改定の内容は単純値上げから規格変更など様々あり、商品ごとに値上げに幅を持たせているのが特徴。商品に占める値上げ原材料の比率が異なり、一律何パーセントの値上げとするのが難しいため。最需要期を迎えた冷凍枝豆の場合、大部分は輸入品なので値上げ交渉が進めやすいかと思えば、「外食メニュー一皿分で勘定すると1円未満、銭単位の攻防だが、すんなりと認められる例は少ない」と言われる。

 冷凍食品の値上げについては「事情をていねいに説明すれば一定の理解は得られる」(メーカー)というものの、消費者離れを恐れる小売店や外食産業に根強い抵抗があるのは事実。

 製造と販売の狭間で中間流通を担う問屋も事情は同じ。仕入れ価格が上がって、得意先への納価がそのままならば、商品によっては赤字となる。ある問屋の幹部は「買い手と売り手の価格に関する攻防はまだまだ続きそうだ。メーカーと一緒に事情を説明しながら、双方の売上げが落ちない工夫が不可欠」と語る。

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