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今週の一本

●農薬混入事件、準社員の男性逮捕  去石誠一 (週刊冷食タイムス:14/01/28号)

マルハニチロ、再発防止、信用回復に全力

 アクリフーズが群馬工場で製造した冷凍食品の一部に農薬が混入された事件で、群馬県警は25日、同工場の準社員である男性容疑者(49歳)を偽計業務妨害容疑で逮捕した。これに伴い、アクリフーズの親会社マルハニチロホールディングスは同日夜の記者会見で、マルハニチロHDの久代敏男社長、アクリフーズの田辺裕社長らが3月末で引責辞任、3カ月間の月額報酬を50%カットすると発表した。他の役員も月額報酬を20〜40%カットする。

 マルハニチロHDは「まだ容疑の段階だが、事実とすれば、グループ内に悪質な犯罪行為におよぶ人物の存在を許したことは痛恨の極み」と説明。「農薬混入の経緯、背景については捜査の進展を待ち、原因究明と再発防止に努める」としている。当該商品の自主回収は続ける。

 同社では、工場の食品管理体制に関する問題点として@従業員による農薬混入を許してしまったA異臭の申し出から自主回収まで約1カ月半の時間を費やしたB食品安全基準についての認識に誤りがあり、不安を増大させた――ことをあげ、「再発防止策の早期策定と実行でグループの総力を挙げ信用回復に努める」と発表した。

 具体的に「海外を含めたグループ企業・関連工場に対し、工場持ち込み禁止物の確認徹底、工場内の監視体制の強化などの再点検を既に実施している」と報告した。また「外部専門機関による食品安全管理の総点検を22〜23日のマルハニチロ食品広島工場、下関工場をはじめ、順次実施していく」と発表した。

 さらに、社外有識者からなる第三者検証委員会(委員長=今村知明奈良県立医科大学教授)を今月31日に発足させ、今回の事態を客観的、専門的な見地から検証する。グループの品質保証体制については「第三者検証委員会の提言を受けながら、食品安全保障、食品防御の観点から抜本的な改善を図る」(同社)考え。

久代社長、田辺社長ら引責辞任

 マルハニチロホールディングスは今回の事件に関連して、久代敏男社長とアクリフーズの田辺裕社長の3月31日付引責辞任と、1〜3月の月額報酬50%カットを決めた。その他の役員に対する処分は次の通り(月額報酬のカットはいずれも1〜3月の3カ月間)。

 【マルハニチロHD】▽伊藤滋副社長=月額報酬30%カット▽坂井道郎副社長(食品セグメント長)=同40%カット▽今村宏常務=同20%カット▽村田彰徳常務(品質保証担当)=3月31日付で引責辞任、同30%カット

 【アクリフーズ】▽時岡高志専務=4月1日付でマルハニチロ顧問に降格、月額報酬30%カット▽永廣啓輔常務=4月1日付でマルハニチロ嘱託部長に降格、同30%カット

商品回収で連結予想を下方修正

 マルハニチロホールディングスは平成26年3月期の連結業績予想を25日下方修正した。子会社のアクリフーズの群馬工場で発生した農薬混入事件に伴う製品自主回収により、関連費用35億円(棚卸資産処分損や告知費用など)を特別損失として計上したため。第3四半期(10〜12月)累計期間の業績を踏まえて自主回収による売上高の影響を考慮した結果、売上高は前回予想より50億円減の8400億円(前期実績8097億8900万円)、営業利益は35億円減の115億円(同119億9600万円)、経常利益は25億円減の135億円(同132億5千万円)、当期純利益は25億円減の45億円(同54億4800万円)に修正した。

 また4月1日付で予定しているグループ6社統合に関しては、「(合併新会社)マルハニチロの発足と、同社株式の東京証券取引所テクニカル上場に向けて準備を続けている。本統合にアクリフーズが含まれているが、予定に変更はない。同社は現在の独立した企業体から新会社の一部門となるが、全社をあげてアクリブランドの価値回復、マルハニチログループとしての信用回復に取り組む」としている。

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