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今週の一本

●世界初、クロマグロの陸上での産卵に成功  相模活 (週刊水産タイムス:14/05/26号)

水産総合研究センター、安定生産へ一歩前進

ふ化した稚魚(平均全長3.25mm)
ふ化直前の受精卵(産卵40時間後)
 資源状況が依然として過去最低レベルにあるとされる太平洋クロマグロ。資源回復も難しいと言われる中、期待が膨らむのが完全養殖マグロだ。水産総合研究センターは23日、長崎市内のクロマグロ用陸上飼育水槽でクロマグロの養成親魚の産卵に、世界で初めて成功したと発表した。

 水研センターは昨年、長崎市内にクロマグロ用陸上飼育水槽を完成させた。マグロを成熟させて大量の受精卵を生産する技術を確立するのが目的だ。

 昨年6月、鹿児島県の奄美大島沖の海上いけすで養殖したクロマグロ126尾を長崎の施設まで輸送し、親魚養成に着手した。いずれも2歳魚で、体重は約15kg。水槽内の水温や日照時間を調整しながら飼育した。エサは市販の配合飼料やマサバ、スルメイカを週3回ほど与えた。

 今月16日の午後4時ごろから、水槽内で追尾行動が頻繁に見られ、午後5時50分ごろに初めて産卵を確認した。この時の水温は20.2℃だった。水槽内で産出された卵は、水流によって隣接する採卵槽に誘導され、採卵ネットでろ過収集する形で集卵した。翌朝までに総数で1万5400粒が採卵され、そのうち受精卵は9600粒だった。

 18日の午前中には卵のふ化は完了し、新しく次世代のふ化仔魚7840尾が誕生した。現在も産卵が続いているという。

 クロマグロの養殖をめぐっては、海で捕獲した天然の稚魚をいけすに移して育てるのが主流で、稚魚の乱獲が問題となっている。海上のいけすで産卵から始める完全養殖も一部で成功しているが、商業ベースのめどは立っていない。海水温や気象条件の変化を受けるいけすに比べ、陸上水槽はそういった環境を調整できるメリットがある。

 水研センターは今後、「産卵に関与した親魚尾数、同一個体の1シーズンの産卵回数などを調査しデータの集積に取り組み、種苗生産に必要な親魚の数を割り出し作業効率を高めたい」としている。

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