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今週の一本

●大日本水産会など7団体、日本産推進協を発足  相模活 (週刊水産タイムス:16/01/25号)

東京五輪に安心食材を

 2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村や会場で提供される食材について、国産品の使用を働きかけようと21日、大日本水産会など7団体が「持続可能な日本産農林水産物の活用推進協議会」(日本産推進協)を立ち上げた。今年が食材調達基準をめぐる議論の山場となるため、業界団体などの動きが慌ただしくなってきた。

 「東京五輪では、最高品質の国産農林水産物で、外国から来た選手や観客を“おもてなし”したい。どう実現するかを、この協議会で考え発信する」

 会長に就任した東大大学院の中嶋康博教授は、21日に東京都内であった記者会見でこう意気込んだ。

 東京五輪の選手村や会場で使われる食材調達の基準は、農水省が原案をまとめ、東京五輪・パラリンピック組織委員会が最終的に決める。「国際的な認証を受けたものに限る」などと、食材調達をめぐっては様々な憶測も飛び交っており、日本産推進協には正確な情報をもとに議論・発信する役割も期待される。

 2012年のロンドン五輪で農産品の国際認証「グローバルGAP」が採用されて以降、環境や衛生管理に配慮した認証を取得した食材を調達する流れが「レガシー」(遺産)として定着した。

 2016年のリオデジャネイロ大会で提供される天然水産物は、イギリスに本部がある海洋管理協議会(MSC)の認証を受けたものにするという。

高額な認証コストが壁

 国内でMSCの認証を受けているのは京都府のアカガレイと北海道のホタテのみ。他に、大日本水産会が事務局を務め、海の環境に配慮した漁業で獲れた水産物を認証するマリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)がある。これまでに20以上の漁業を認証している。大日本水産会の木上正士事業部長によると、「日本の漁獲物全体の中で、MELジャパン認証の漁業で獲れた魚の割合は4〜5%」だという。

 漁業界で認証制度の普及が一気に進まない理由に、認証コストの高さがある。MSCで数千万円、MELジャパンではその10分の1程度で済むが、零細漁業者には負担感が強い。

 「公的認証を取っていなくても、自主的に資源管理に取り組む漁業者はたくさんいる」と木上部長。「資源の持続性を担保していることを、どうやってPRするかが悩みどころ」と指摘する。

 日本産推進協は今後、産業界から出された提言書を評価したり議論をとりまとめ、農水省やオリンピック組織委に提言する。

 事務局を務める特定非営利活動法人(NPO法人)アジアGAP総合研究所の武田泰明専務は「選手村で国産の農林水産物が提供されれば、その事実がまわりの飲食店にも波及するし、オリンピック終了後も引き継がれる」と期待している。

 水産関係からは大日本水産会のほか、国内の養殖魚の認証を行っている水産資源回復管理支援会も発起人団体に入っている。

 日本産推進協の副会長には東大大学院の八木信行教授が就いた。顧問にはマルハニチロの伊藤滋社長、全国水産卸協会の伊藤裕康会長、北海道漁連の川崎一好会長、長崎県漁連の川端勲会長、気仙沼の菅原茂市長、東京海洋大の高井陸男名誉教授、ホウスイの高橋昌明社長、大水の真部誠司社長、日本トロール協会の吉田光徳会長らが名を連ねている。

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