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今週の一本

●大手水産会社が株主総会   (週刊水産タイムス:16/07/04号)

株主、対処すべき課題に切り込む

 大手水産会社の株主総会は前週のニチレイ、極洋に続き、6月28日にマルハニチロ、日本水産が開いた。いずれも1年間の事業概況や今後の課題について細部に及ぶ質問が相次ぎ、今年はマルハニチロや極洋は最近に珍しく2時間超えとなった。

マルハニチロ、株主19人が質問

 東京・芝公園のメルパルクで開かれたマルハニチロの総会は開始時点で950人を超える株主が集まった。伊藤滋社長が議長となり前期事業報告と決議事項を審議。株主19名(一部重複)からの質疑・意見にていねいに応え、終了まで2時間4分。

 総会の冒頭、映像と音声で前3月期の業績や決算書類の内容を約15分にわたって説明。伊藤社長が「解決すべき課題」について約7分かけて説明した。伊藤社長は「中期4カ年経営計画『Challenge to ward2017(2014−2017)』において、平成28年度からの2年間を“成長への挑戦”の期間と位置付け、@成長路線の遂行Aグローバル領域での収益拡大B財務体質の改善を推進していく」と解説した。

トップサプライヤーとして成長

 この中で、漁業・養殖事業については「まき網事業を主力とする漁業部門と、マグロ・カンパチ・ブリの養殖部門を両軸に事業を推進する。天災リスクを回避しながら、完全養殖マグロをはじめとする環境に負荷をかけない漁業・養殖をめざす」した。
 また、商事事業については「国内トップサプライヤーとして、さらなる成長に向けて資源アクセスの強化、加工品の拡大、国内外の販売ネットワークとの協働を通じた販売力の強化を進める」と解説した。
 質疑応答では、株主から「養殖事業の規模から(海中に残る)餌の処理が気になる」という質問に対し、中島昌之専務が「2006年に養殖管理システムを作り、魚が餌を食べ切る量だけ与え、毎日海中に潜って確認しており、基本的に海底に餌が残ることはない」と説明した。
 また「保存の利く食品をユニセフなどを通じて食糧危機に直面しているアフリカへ提供することはできないのか」という問いに対しては、岡本信孝常務が「ジェトロとの取り組みの中で一昨年から魚肉ソーセージを輸出しているが、現状、ユニセフからそういった要請はない。貴重な意見として受け賜る」と回答した。
 余剰金の処分は、普通株式1株につき30円の配当で決議。また監督と執行を分離・独立するため、定款の一部変更を決めた。
 取締役10人を選任し前期より5人取締役を減らした。吉田昌志顧問の新任監査役就任を決めた。

ニッスイ、南米養殖の収益性問われる

 日本水産は東京・日本橋のホテルで開いた。細見典男社長が議長となって事業報告などを行い、取締役、監査役選任の2議案を可決、了承した。

 前期事業経過と成果は前方大型スクリーンの画像と事務局の説明で報告した。対処すべき課題は細見社長が約7分間説明した。細見社長は特に現中計MVIP2017の内容を中心に説明し「食品、水産、ファインケミカル事業の融合による成長の実現」を強調した。

「エビの失敗繰り返すな」の激励も

 株主8人が10項目について質問した。収益基盤の弱い南米養殖事業や配当性向が低いなどと指摘する質問もあったが、細見社長と担当取締役の説明を聞き、納得するとともに「もっとニッスイに頑張ってほしい」と株主が激励する場面が再々見られた。

 南米養殖事業については「インドネシアのえび養殖撤退の事例もあり、収益性を懸念している」と株主が指摘。南米事業執行の高橋誠治取締役と水産事業執行の的埜明世取締役常務が養殖事業の展開内容を説明した。しかし別の株主が詳細な説明をさらに求め、養殖事業推進室担当の前橋知之執行役員と細見社長がデータ等を示しながら取り組みの現状などを紹介すると、質問した株主も「エビの失敗を繰り返さず、収益確保を」と激励した。加工食品に関する質問は出なかった。

 配当が低いという指摘には、細見社長と小池邦彦代表取締役専務が「無配から復配したばかりで盤石の財務体質になっていない。将来は30%配当できるよう努める」と説明した。

 英国のEU離脱の影響、ファインケミカル事業に関する質問も出たが、細見社長、小池専務、関口洋一取締役らが答えた。

 約50分後、採決を取り、1時間15分で審議終了。

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