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今週の一本

●ALPS処理水 海洋放出を開始  栗原浩太 (週刊水産タイムス:23/08/28号)

首相、漁業者へ理解求める 廃炉完遂まで漁業継続に全責任

面談を行う岸田総理大臣ら(左)と
全漁連関係者
 東京電力ホールディングス(東京都千代田区、小早川智明社長)は福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出を24日13時過ぎに開始した。初回は17日間かけて7800tを放出する方針。
 政府はALPS処理水問題に関する関係閣僚会議を22日開き、24日から海洋放出を開始する方針を決定した。岸田文雄内閣総理大臣はJF全漁連の正副会長や関係する漁連会長・漁協組合長との面談を21日実施。「国として海洋放出を行う以上、廃炉やALPS処理水の放出を安全に完遂すること、漁業者の皆様が安心してなりわいを継続できるように必要な対策を取り続けることを、全責任をもって対応することを約束する」と述べ、政府方針に対する理解を求めた。
 全漁連の坂本雅信会長は@漁業者・国民の理解を得られないALPS処理水の海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではないことA科学的な安全性への理解は深まってきたが、科学的に安全だからといって風評被害がなくなるわけではないことB海洋放出は廃炉作業のプロセスの一つに過ぎず、最後の一滴の放出を見届けるまで漁業者の受け止めは予断を許さないことC子々孫々まで安心して漁業できるように、漁業者に寄り添い、今後数十年の長期にわたろうとも国の全責任において必要な対策を講じ続けること――を強く求めた。
 岸田総理大臣は「廃炉完遂まで漁業者のなりわい継続に取り組むこと、国が全責任をもって必要な対策を講じ続けること、フォローアップ体制の構築と水産予算とは別に必要な予算措置に政府全体として責任をもって対応すること」について、国として約束する考えを改めて示した。坂本会長は「政府のこうした姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えており、総理の発言を我々として重く受け止める」とコメントした。
 海洋放出状況は「処理水ポータルサイト」(https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/)を介してリアルタイムで公表している。

「漁業継続が唯一の望み」/全漁連坂本会長がコメント

 坂本会長は24日の海洋放出後にコメントを発表。放出反対の立場を明確にしたうえで、漁業継続に要する対応を政府に求めた。
 コメントの概要は次の通り。
     ◇
 国家的見地から国が全責任を持って放出を判断したとはいえ、今、この瞬間を目の当たりにし、全国の漁業者の不安な思いは増している。我々漁業者は、安心して漁業を継続することが唯一の望みである。
 そのため、国にはモニタリングの実施などを通じた安全性の確保や消費者の安心を得ていく取り組み、漁業者へのフォローアップ体制の構築などを通じて、「漁業者に寄り添い、必要な対策を取り続けることをたとえ今後数十年にわたろうとも、全責任を持って対応する」との岸田総理の約束を確実に履行し、漁業者をしっかり支えていただきたい。
 加えて、既に発生している風評被害への可及的速やかな対応を強く求めるものである。

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