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今週の一本

●6年度水産関係予算 概算要求額2587億円  後藤美緒 (週刊水産タイムス:23/09/04号)

着実な資源管理とスマート化加速へ

 水産庁は令和6年度水産関係予算の概算要求を8月31日発表した。要求額は2587億円(前年は1919億円要求)。資源調査・評価の充実を図ることで資源管理を着実に実施するほか、機器・サービスの導入や人材育成、横断的なデジタル化によりスマート水産業を加速させる。

スマート化リードする“伴走者”育成

 柱は@海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施A増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現B地域を支える漁村の活性化の推進C水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靱化の推進D東日本大震災からの復興まちづくり、産業・生業(なりわい)の再生――の5本。併せてスマート水産業関係予算(1205億円の内数)についてもしっかりと示し、要求している様々な施策でスマート化を図る。
 資源管理の着実な実施に向けては、資源調査・評価の拡充に前年度当初予算の1.7倍となる99億円を要求。海洋環境の変化を踏まえた高度な資源評価を実現するために、最大持続生産量(MSY)を達成できる資源水準の算定、水中グライダーなど新技術を活用した調査船・漁船を活用した調査、外国との研究連携を推進して調査・評価体制を確立する。
 また、水産研究・教育機構の調査船「蒼鷹丸」を代船建造して資源評価に役立てる。
 水産流通適正化法を踏まえた情報伝達の電子化推進や、漁獲情報の電子的な情報収集の強化には11億円の内数を要求した。
 併せて、TAC管理の円滑な推進に向けて18億円の内数を要求。選択的漁獲のための技術開発やIQ管理拡大、太平洋クロマグロの陸揚げ港などにおける漁獲監視の高度化を推進する。
 水産業の成長産業化の実現に向けては、スマート化の取り組みをリードする“伴走者”の育成などに3億円を新たに要求。漁業・スマート双方に関する知見を持つ人材を育て、企業と漁業者のマッチングをスムーズにする。

遊漁船業の安全性向上へ

 約2倍の50億円を要求した浜の再生・活性化では、浜プランの着実な実施を推進。併せて、知床の遊覧船の事故をきっかけに遊漁船業法等が改正されたことから、遊漁船業者の安全設備の導入や情報の一元化を推進して安全性向上を図るとともに、協議会の支援に充てる。

水産基盤整備事業漁港のグリーン化を拡充

 水産基盤整備事業は2割増となる873億円を要求した。なかでも、漁港のグリーン化の推進を拡充。流通拠点漁港のカーボンニュートラルを実現するため、排出抑制対策と固定化対策の一体的な推進による“CO2の見える化”に取り組む。
 漁港の機能増進と「海業」の振興に向けては2倍の12億円を求めた。
 東日本大震災からの復興関係では、被災6県における長期研修や就業に必要な漁船・漁具のリース導入を支援する事業に3倍の21億円を要求。
 また、ALPS処理水による風評影響抑制のための水産物のモニタリングや、生産対策のための種苗放流やがんばる漁業・養殖業に21億円を要求している。

不正漁獲を防止「漁獲管理官」新設

 IUU漁業対策や海業の推進に対応するため、水産庁内の体制整備を図る。
 多くの漁業者がクロマグロなどの厳しい資源管理に取り組む中、不正な行為を防止するために「漁獲管理官(仮称)」を資源管理部に設置する。
 海業の推進に向けては漁港漁場整備部の計画課を「計画・海業推進課(仮称)」に改組し、人員を増やす。

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