冷凍食品(冷食)・冷凍野菜・お弁当の売上・取扱ランキング・ニュース

水産タイムズ社
トップページお問い合わせサイトマップ
今週の一本

●トップシェフら 魚食文化存続に警鐘  後藤美緒 (週刊水産タイムス:25/06/09号)

小泉大臣に資源調査予算拡充求める/「水産物が手に入りづらい」

 Chefs for the Blue(C―BLUE、佐々木ひろこ代表理事)は水産資源の回復と食文化の維持継承に向けた提言書を、小泉進次郎農林水産大臣と森健水産庁長官へ2日提出した。全国初となる飲食店対象の水産物調達現状調査の結果についても説明した。

小泉大臣(中央)に提言書を手渡した
 同日開いた記者会見で、佐々木代表は「日本の魚食文化は世界に誇れる魅力的なコンテンツだが、魚食文化醸成に大きな役割を果たしてきた飲食店にとっては水産物が手に入りづらい状況が続いている」とし、水産物の価格高騰や市場に流通する魚種・物量の減少を指摘。「現在の魚介類の自給率は54%と、これまで培ってきた食文化を維持継承することすら困難な状況であり、日本漁業が国民への水産物供給という使命を果たせるかという瀬戸際」と危機感をあらわにした。
 これらを背景に、提言では@資源調査・評価のための予算拡充と人員増加などの体制強化A多獲性魚種の科学的根拠に基づいたTAC・IQ管理の着実な推進と、資源の保全・回復に必要な小型未成魚の保護B早急な沿岸魚種の資源管理の強化。生態系保全・回復と水産資源管理措置が科学的根拠に基づいて実施されるよう、ガイドラインと確実な成果検証方法の策定C水産物の国内供給と輸出振興のあり方についての戦略的な方針策定D水産物の資源状況や生産者・生産情報など、情報の発信体制の強化やトレーサビリティの推進――を求めた。
 また、提言書の提出に合わせ、業界初めての試みとなる全国の飲食事業者(オーナーと食材調達担当者)を対象とした記名式のアンケート調査(有効回答者数約1300)を実施。
 その結果、10年前と比較した現在の仕入れ状況の悪化や選択肢の減少、仕入れ価格の高騰などの現状に対し、多くの飲食店が水産物の将来を危惧していることが浮き彫りとなった。

大臣「危機感持ち政策に反映する」

 要請には佐々木代表、カンテサンス(フランス料理)オーナーシェフの岸田周三理事、チェンチ(イタリア料理)オーナーシェフの坂本健理事、日本橋蛎殻町すぎた(鮨店)主人の杉田孝明氏、てのしま(日本料理)主人の林亮平氏、茶禅華(中国料理)オーナーシェフの川田智也氏が参加した。
 鮨店を営む杉田氏は小泉大臣に「我々は魚がないと仕事ができない。ここ何年も魚が減少していることは明らか。資源がどうなっているかを知るために予算を割いていただきたい」と訴えた。
 小泉大臣は「日本周辺の海洋環境の変化は著しい。危機感を持って受け止め、政策に反映していく。誰もが日本の食の魅力を堪能できるような環境を作っていきたい」と答えた。

水産タイムス 冷食タイムス
(C) Copyright 2004-2015, Suisan Times Co., Ltd. All Rights Reserved.
当サイトに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。  お問い合わせ |サイトマップ著作権・記事使用・リンク・個人情報の保護などについて>>