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今週の一本

●春の冷食新製品 シニア層をターゲットに  佐藤 巳喜夫(週刊冷食タイムス:07/2/27号)

各社から「食卓向け」増発

「国産」とくに「北海道産」の人気上昇
健康軸を強化、新技術生かした商品も

 春の冷食新製品がほぼ出揃った。
 冷食タイムス編集部のまとめでは、市販用の新製品が123品で昨年に比べ9品の減少。対して改訂品が101品で前年に比べ7品増えた。
 売上げが伸び悩む市場環境を反映し、新市場の開拓よりも、主力品、得意カテゴリーに重点を置くメーカーの考えがリニューアル拡大につながっている。
 業務用は新製品355品で、前年同時期の369品に比べ14品減っている。これに対し、改訂品が103品で、市販用同様の理由で前年より49品増えている。

 今シーズンの新製品の特徴として、次の様な傾向が読み取れる。
(1)団塊シニア層をターゲットとする“大人向け”需要の拡大をめざした商品が増えた。少子化で弁当需要の伸びが期待できないのに対し、団塊のアクティブシニアはこれから増加が見込まれる有力市場。
 ニチレイフーズは“大人”シリーズで「焼きカレー」など3品を開発。団塊層が多く住む地域を中心に商品陳列を重点提案する。
 加ト吉は“ちょっと高いけどおいしい”と冠した具付スパゲティ等を揃えた。味の素冷凍食品はカップルアゲイン層をターゲットとする“ちょっと贅沢”シリーズを全面改訂し、販売強化を図る。日本水産は「お茶漬けの具」で大人需要を取り込む。これ以外のメーカーでも残された大型市場であるシニア層の需要取り込みに必至。

(2)業務用で“上質”コロッケの激しい戦いが繰り広げられる。味の素冷食、ニチレイフーズ、日本水産という大手メーカー同士が正面から激しい戦いを挑んでいる。
 味の素冷食の業務用コロッケは、北海道産素材にこだわった「まるごと北海道コロッケ」4品種7品。牛肉、野菜はもちろん、ビートシュガー、自家製焼き立て「生」パン粉やバターに至るまで北海道産にこだわったプレミアムタイプ。
 既存の惣菜向け「NEWデリカコロッケ」の野菜、自家製焼き立てパン粉とビートシュガーは北海道産に切り換え、パッケージもリニューアルする。
 ニチレイフーズも業務用で「グリエハンバーグ」と並んで「“極”(きわ)だつポテトコロッケ」を今春の決め手と期待する。冷凍変性抑制技術を独自に開発したのがポイント。3年前にプロジェクトを立ち上げ、コロッケのおいしさ、最適のじゃがいも原料、衣など細かく研究改善を重ねた結果、衣比率35%の薄衣で、じゃがいもの自然な固形感とほくほく感を実現した。
 冷凍変性の抑制技術により、でん粉の細胞の形状を残す製法を完成させた。「従来のコロッケと全く異なり、チルドに負けない」と自信を示す。森工場(北海道)に14億円を投じてコロッケ新ラインを建設。関西工場(高槻)のハンバーグ同様、ノンフロンフリーザーを導入する。森工場は見学者通路を設け、外部公開を前提とする。
 日本水産は「デリカごろじゃがコロッケ」。北海道の「ようてい」ブランドの男爵を使い、じゃがいもの固形感を自然に残す新製法を採用。ネーミング通りにごろごろしたじゃがいもの存在感を打ち出した。衣比率が40%。既存の「素材たっぷりコロッケ」は衣比率が35%。おいしく改訂する。
 味の素冷食の「まるごと北海道」は75gと90g。ニチレイF「じゃがいも“極”だつ」は85g、「肉の旨み“極”だつ」は75g。日水の「ごろじゃが」は75g、素材たっぷりは60g。
 がっぷり四つのコロッケ勝負、勝ち名乗りの軍配はどこに下されるか……。

(3)国産原料の国内加工が人気を得ているのは安全安心対策であり、国産品で市場を活性化したいというねらいもある。
 豚肉、鶏肉から野菜類まで国産が主流。調味料、副資材まで国産を強調しているところが少なくない。国産を追及する流れが行き着いたのが「北海道」。野菜、魚、牛乳に至るまで、北海道は大人気。

(4)健康軸の商品はいまや珍しくないが、ユニバーサルデザインフード(UDF)の取り組みが本格化しつつあるのは注目される。
 不二製油は食物繊維強化の「ファイタス」に豚肉を使ったポークバーグと角あげを加えた。

(5)技術改良による商品提案も注目したい動き。ニチレイフーズは一流シェフの技をハンバーグに活かし、上下のWベルトグリルで肉の両面を焼いて旨みを封じ込め、低温と高温の蒸気で仕上げる「マルチスチーム製法」で「グリエハンバーグ」を完成させた。
 キユーピーはオムレツにナイフを入れると中の半熟卵が表れる「ひらけオムレツ」の65gミニタイプを開発した。
 シマダヤは伝統的製法の手延べ麺の機械化に成功し差別化麺「手延べ勝(まさ)りうどん」を業務用に提案する。流水解凍でものびない「α麺」には業界初のそうめんを加えた。

 これ以外にも独自の工夫で生み出した新製品が揃った。市場活性化につながることが期待される。


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