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今週の一本

●小麦の大幅値上げ 困惑と混乱広がる 佐藤 巳喜夫(週刊冷食タイムス:08/02/19号)

中国餃子問題に難問追加 先の値上げも不透明

 政府の小麦粉売渡価格が30%高と大幅に引き上げられることになり、冷凍食品メーカー、流通に困惑と混乱が広がっている。冷食業界にとって中国産冷凍餃子問題で体力を消耗している時期に、新たに大きな収益悪化要因を抱えることになる。しかも、昨秋の価格改定ですら完全に浸透し切ってはいない。

収益悪化は必至、再編加速か

 政府の小麦粉売渡価格は昨年春の1.3%高、秋の10%高に引き続き、4月で3度目の値上げ。しかも値上げは来年も避けられないと多くが見ており、商品計画や事業構造の見直しを迫られることは必至。
 これが業界再編を加速することにもなりかねない。

 今回は諸原料高騰に伴う冷凍食品の新価格がようやく流通から末端現場まで浸透しつつある微妙なタイミングに再値上げ発表となったため、メーカーは三割の上げ幅をそのまま価格転嫁しても市場から受け入れられないと見ており、他社の動向、製粉加工品の価格動向をにらみながら上げ幅を詰めることになる。
 製品再値上げの実施時期はさらに難しい。製粉会社の動き、あるいは即席麺、パン業界等の動きを読みながら冷食製品価格の改訂時期を探ることになるが「営業対応、業務・情報管理の面でも期半ばの値上げは難しい」のが実情。そこで下期の新製品導入に併せてリニューアル対応するケースが多くなりそうだ。
 流通、小売店、末端ユーザーの対応も難しい。卸値、末端(メニュー)売価に三割を単純上乗せしても通らない。しかも、小麦粉製品全体が値上げされれば、逆に冷凍食品にしわ寄せが来る。今秋、来春の小麦粉再値上げを見越して動向を見守ろうとし、全体に消費が冷え込む可能性も強い。

 小麦粉の高騰で製品も変わってきた。デュラム小麦粉の急騰でデュラムを入れない冷凍パスタを加ト吉とシマダヤが今春発売する。デュラムなしでも食感、おいしさは変わらないとメーカーはアピールするが、デュラム・パスタになじんだ流通、消費者がどう受け止めるか注目される。
 中国産冷凍餃子問題で国産原料・国内生産が進み、小麦粉値上げが加わって商品分野は集約化が進む。もみ合いの中で、苦しくなったところから撤退、売却の動きになる可能性がある。

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