この人に聞きたい:第1040回
(週刊冷食タイムス:26/07/28号)
生産性向上でより働きやすく
中村角(株) 代表取締役社長 中村 一朗氏
(なかむら・いちろう)旧日本興業銀行から1998年中村角入社。取締役部長、常務、専務を経て2010年から現職。JFSA(日本外食流通サービス協会)会長も務める。1968年8月広島県生まれ、57歳。東京大学経済学部卒。
社員のやる気促す環境醸成
前期は増収増益で着地。今期も社員たちの頑張りに支えられ好調を維持している。近年、力を入れている働き方改革がやる気を促しているよう。課題は生産性向上との両立。解決の切り札としてAI活用に踏み出す。
――秋冬総合展の手応えは?
中村 「中村角提案コーナー」に毎回力を入れていますが、今年は「今こそ、元気ご飯」をテーマにメニュー提案しました。「味の冒険」や「自分を労わる」といった心を健康にする切り口が良かったのか、おかげさまで予想を超える反響がありました。
――提案する栄養士らのモチベーションが高いと感じる。
中村 働きがいのある職場づくりは意識しています。待遇改善だけでなく、長時間労働の是正や年間休日の増加などにも取り組んでおり、6年連続で今年も「健康経営優良法人」に認定されました。
――前期増収増益の要因は?
中村 販売単価は上がるも、1品当たりの数量が低下する厳しい中で、低温食品第1部(水産加工品)、福岡支店、岡山、大分の両営業所が頑張ってくれました。
――注力する業務用も伸びた?
中村 売上げは伸びましたが、粗利が上がらず苦戦しました。今期は巻き返しを図ります。攻め切れていない産業給食や病院・老健に加え、当社にとって伸びしろが最も大きい外食を強化していく考えです。ビジネスホテルは朝食向けの調理加工品で引き合いが増えており、ここも伸ばしていきます。
――デジタル化の進捗状況は?
中村 受発注システムを含めて順調に進んでおり、新規の取引先が増えても効率よく対応できています。さらに今年は「AIを使いこなそう」と方針を示しました。
――AIで何をする?
中村 営業サポートを想定しています。たとえば新規のお客様に対し、希望条件に見合った最適な商品をAIが選択して見積りまで短時間で作成し、提案することができる。これまで先輩社員に聞いたり、自分で調べたりしていた時間や負担の軽減につながります。
――最大の目的は?
中村 生産性向上です。残業時間増やさず、休日出勤もさせない、限られた労働時間で成果を上げるとすれば、何かしらの作業時間を削る必要がある。つまり情報整理や資料作成などに要する時間を削減して生産性向上を上げるしかないのです。ただ、AI導入に際しては社員が安心して使えるよう運用のルールづくりも必要です。AI企業と契約して動き出したばかりですが、なるべく早く実用化したいと思います。