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業界交差点

この人に聞きたい:第1050回
(週刊水産タイムス:26/10/12号)

長雨がネズミの侵入リスクに影響

アース環境サービス 学術部関東エリアエキスパート 博士(理学)  八木 崇氏

 

多段階のディフェンスラインで守る

 アース環境サービス(東京都中央区、田渕徹社長)は食品工場の防虫・防鼠による異物混入防止や微生物汚染対策などの衛生管理に加え、従業員らの衛生教育を支援している。今年は長雨の影響でネズミやゴキブリの屋内侵入のリスクが高まっており、対策の強化や見直しが必要とされる。大日本水産会のHACCPの継続審査員で、食品安全システム構築支援のスペシャリスト、八木崇氏に今年の傾向と同社のサポート内容を聞いた。

 ――衛生管理において気候変動の影響が年々強まっている。今年はどうか?
 八木 今年は長雨の影響が深刻。ネズミやゴキブリが生息域を追われるかたちで屋内に入り込むリスクが高まっている。

 ――自分たちでできる対策は?
 八木 工場の敷地を含めた管理が重要。虫やネズミの生息場所を作らないために、不要物の撤去や廃棄物管理、整理整頓が不可欠だ。間口には防鼠機を設置することも有効である。

 ――アース環境サービスはどのような支援を提供する?
 八木 外周の生息調査、生息域に対する薬剤施工、誘引源となる廃棄物置き場のニオイ対策など。敷地内の草地や土壌は害獣・害虫が生息しやすいため、緑地整備や舗装を提案する。
 ネズミは侵入を一度許すと、その後の駆除が非常に困難。このため、我々は「第1ディフェンスライン」を敷地境界と考え、敷地外からの侵入を監視する。「第2ディフェンスライン」で建物外周への接近を監視・捕獲。「第3ディフェンスライン」で、工場内への侵入阻止を徹底する。欧米はこうした思想で衛生管理に取り組んでおり、今後は日本にも広がると見ている。

工場敷地境界にも監視用トラップを

 ――具体的な取り組みは?
 八木 敷地境界にトラップ・モニタリング装置を設置する。
 当社では害獣や害虫の捕獲状況を遠隔で監視するサービスを提供している。ネズミ用のトラップ「ベイトステーション」にベイト剤(毒餌)と画像監視装置(Pesc leLite)を設置し、ネズミが侵入した際にアラート通知する。
 画像の差分検出機能で経時変化を捉えるため、早期発見や定期検査の効率化につながる。我々がモニタリング結果を分析して対策を提案する。
 建物外周には、ベイト剤とトラップを併用し、直接捕獲して侵入リスクを低減する。

 ――第3ディフェンスラインとは?
 八木 建屋の間口や配線貫通部など侵入リスクの高い箇所のアセスメントを通じて抽出し、点検を怠らない。壁の補修など構造チェック・メンテナンスだけでなく、扉を開放しないなど従業員の意識や衛生管理の教育が重要になる。

経営層のコミット改善に欠かせない

 ――従業員教育は専門家のサポートがないと難しい。
 八木 当社は新入社員や若手社員向けの基礎力育成プランから、防虫・防鼠管理、微生物管理などの専門セミナー、さらに取引先の食品安全の審査を担う社内監査員向けの内部監査員養成セミナーまで教育支援サービスを充実させている。
 Webで学ぶオンライン講座のほか、当社の彩都総合研究所(大阪府茨木市)では年間を通じて座学や体験学習を行うプログラムを用意している。さらに、会社ごとに効果的な教育プログラムを設計することもできる。

 ――受講者は増えている?
 八木 品質管理や防虫・防鼠の担当者らの受講が増えている。最近は社内に独自資格を設ける動きが広がっており、力量を高めたいという目的での受講も増えている。
 重要なのは新入社員も含め社員全員で衛生管理を徹底し、製品を守るという食品安全意識の醸成。この「食品安全文化」の考え方は食品安全の基本であり、FSSC22000にも含まれている。
 当社は「ESCOEVO(エスコエボ)」という、各種モニタリングデータを一元管理し、可視化・分析できるWebアプリケーションを提供している。今年からはipad対応アプリも展開し、当社とお客様の情報共有のタイムラグ解消と迅速な改善対策につなげている。

 ――食品安全文化の醸成に必要なことは?
 八木 経営者らマネジメント層が意識を変えないと実現できない。ただ、最近は社内の食品安全会議や品質会議に社長自ら出席する企業が増えていることからも変化の広がりは感じる。
 衛生管理は課題を改善すれば、それで終わりではない。いかに継続的に活動していくかが大切。当社はマネジメント層に向けた教育支援プログラムで組織改革もサポートしている。

食品安全システム構築・運用を支援

 ――食品安全規格の認証を取得したいという企業は増えている?
 八木 当社はJFS規格(食品安全マネジメント協会)の適合証明とコンサルティング業務を手がけているが、JFS規格の中でも「JFS−B規格」の適合証明が今年9月までで累計437件(B−Plus含む)に上っており、毎年確実に増えている。海外企業と取り引きするにも食品安全規格への取り組みは有効だ。
 当社はJFS規格以外に大日本水産会の対米HACCPの現地指導と継続審査業務を引き受けており、私も20年近く継続審査員を務めている。JFS規格や対米HACCP、ISO22000、FSSC22000などの食品安全システムの構築と運用のサポート体制は万全だ。
 当社の契約件数はサプライチェーンの多様化と拡大に伴って増えており、現在は約1万7000件。国内でもトップレベルの実績を持っている。専門的な支援が必要な場合はぜひ当社に問い合わせてほしい。

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