この人に聞きたい:第1048回
(週刊冷食タイムス:26/09/29号)
ミートボール海をわたる
ケイエス冷凍食品 海外事業推進室 室長 荒 洋介氏
(あら・ようすけ)専修大学経済学部卒業後、ベーカリーチェーンのサンジェルマンを経て2023年入社。25年経営企画室長。26年4月から海外事業推進室長を兼務。1980年2月東京生まれ、46歳。下町の曳舟で3代続く生粋の江戸っ子。
海外進出計画を本格始動
冷凍ミートボール市場でシェア1位のトップメーカーも、人口減少に伴う国内市場の先細りには危機感を隠さない。今年4月「海外事業推進室」を立ち上げた。世界的なたん白質の需要拡大を追い風に海外進出の機会をうかがう。
――海外進出を検討するに至った理由は?
荒 日本の総人口が減り続け、あらゆる業界の市場が今後シュリンクしていくことは明らか。一方で海外市場は拡大しており、ASEANをはじめ魅力的なエリアが多い。我々も海外を視野に入れるべき時期にあると考え「海外事業推進室」を4月に立ち上げました。
――進出先はどこを想定?
荒 米国の業務用市場向けにプラントベース(PB)のミートボールを輸出する計画などです。たとえば米国で見れば、我々が得意とする畜肉加工品は輸出手続きのハードルが高く、コストの問題もあります。現時点で輸出できるPBはプレーンタイプ「ソイリーボール」と秋の新商品「植物生まれのミニバーグ(デミグラ味)」の2品。泉佐野工場(大阪府)でFDA(食品医薬品局)施設登録を進めています。
――輸出開始時期の見通しは?
荒 現地パートナーの確保や販売網の構築、プロモーションなどクリアすべき課題が多く、数年はかかると見ています。ただ、輸出実績を持つテーブルマークや富士食品工業と現地の情報や知見を共有するなどしており、グループシナジーを活かして早期に輸出体制を確立したいと思います。
――米国市場をどう見ている?
荒 特に米国では近年、PBに対するマイナスプロモーションが広がっており、市場は失速しています。そこで「プラントベース」を前面に打ち出すのではなく、別の視点による付加価値を訴求していくことを検討しています。
――具体的には?
荒 たん白質です。(動物由来の)たん白質は世界規模で需要が拡大しており、この先たん白クライシス(供給不足)が必ず起きると言われています。PBのミートボールは新たなたん白質源としての価値を提供できるはず。また、たん白質の摂取はフレイル予防にも効果があるので、世界的に高齢化が進む中、健康長寿の面での価値訴求も可能です。
――PBの新商品は期待を超えるおいしさだった。
荒 国内の取引先からも好評を得ており、我々も完成度に満足しています。海外で勝負するには2品だけでは厳しいため、今後は技術力の高さを武器にアイテムを増やしていきたいと思います。