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この人に聞きたい:第48回
(週刊冷食タイムス:06/06/27号)

低温物流のオンリーワン企業をめざす

(株)ランテック 社長 瀧内 貞男 氏
プロフィール:(たきうち・さだお)
昭和40年4月入社、平成5年取締役、11年常務、14年専務、17年代表取締役専務、18年4月から現職。兵庫県出身、関西大学経済学部卒。昭和16年12月生まれ、64歳。趣味はスポーツ観戦、ゴルフ。座右の銘は「有言実行」。

フレッシュ便を北海道・東北でも拡充

 ランテックの瀧内貞男社長は創業家以外で初めて、その職に今年四月就いた。生い立ちから入社動機、売上げ目標や設備投資など今後の計画まで聞いた。

 兵庫県出身の私が九州牛乳輸送(現ランテック)に大卒後入社したのは、当時就職難だったという背景もある。同期入社は七人いたが、私以外は九州の出身だった。休みのないきつい仕事だったが、九州男児に負けてはならないという気負いが内心あった。それがモチベーションになったし、また九州の人とは不思議と気が合った。

 実家は農業を営んでいた。男は私一人だったが、家を姉が継いだ。入社したからにはずっと勤め上げようという思いがあった一方、出世したいという気持ちはなかった。自分が社長になるとは夢にも思わなかった。若かったので、いつか自分で何かやってやろうと考えていた時期もあったが、そのまま四十一年が経過した。この仕事は案外おもしろい。適性があるかどうかというより、自分でどう魅力を感じるかだと思う。

 私は入社後すぐ牛乳輸送の仕事に関わった。販売店さんへ定時配送する仕事で、何がなんでもその時間にお届けするために一生懸命にやったが、痛い経験も多く、責任感を叩き込まれた。その責任感をどう安全運転に結びつけるかという意識の大切さは、私が物流業に関わり始めた頃も今も変わりはない。

 ただし、業界を取り巻く環境は今の方が厳しくなっている。社員に対しては、ねぎらいの部分と仕事に対する厳しさは当然区分する。甘えは許さない。

 四月に現職に就いてから全支店を回り、社長交代の内容と今期の方針を説明してきた。その際、礼儀・挨拶の徹底は根付いてきたと感じた。ただし社員全員がきちんとできているわけではない。レベルの低い者をいかにしてきちんとさせていくか。ここには力をいれる。学校教育では身についていない部分を社会人になってから会社で教育する。当社の教育は同業他社より厳しいと自負している。

 二十一世紀を迎えた時から低温物流のオンリーワン企業を目指していこうと事業に取り組んでいる。当社の持っている物流商品をお客様のニーズに対応し、どう進化させていくか、環境問題といった世の中の要請をどうクリアするか。顧客と社会からの課題を達成してこそ低温物流のオンリーワン企業となれる。

 売上げ面で一番期待しているのは小口混載輸送(鉄道幹線輸配送含む)のフレッシュ便。この商品の売上げは年間百億円を超えている。冷凍食品の小口混載輸送では当社のフレッシュ便が業界トップクラスだと思う。昨年には午前中配送サービスを始めた。今期予算は年商三百四十一億円、そのうちフレッシュ便は百二十一億円を組んでいる。

 当面の年商目標は四百億円だが、フレッシュ便の全国展開の部分で伸ばしたい。この四百億円のうち二百億円はフレッシュ便を想定している。当社の知名度は全国レベルでは低いが、フレッシュ便という商品名は知られるよう、東北、北海道エリア全域でも得意先を広げられるよう、まい進していきたい。

 モノの動きが少量多頻度になる中、それに対応するシステムが、年中無休で事業展開するフレッシュ便となる。大型センターを来年春に福岡に立ち上げるのも、主にフレッシュ便のための投資。何カ所かある拠点を新センターに統合し、効率向上とサービス拡充を図る。厚木支店と関東支店を昨年六月集約した神奈川県伊勢原市の湘南支店も、そのねらいは同じ。湘南支店は敷地面積八千六百坪の大型物流センターだが、福岡はその一・六倍規模、建物も一・五倍規模となる。名古屋や千葉にも拠点開設を考えている。

 売上げも伸ばさなくてはならないが、当社は売上げ重視ではない。利益をどう生み出すかというところが大事。価格で競争し、仕事を低品質で請け負うやり方を当社はしない。輸送品質の部分をお客様にどう評価していただけるか、輸送品質を保つためにコストをかけている。前期はフレッシュ便を進化させるためにハード面の体制作りを行ったため、利益が圧縮された。そこへきて燃料が高騰し、予算に対して三億円ほど経費がアップした。

 当社の幹線物流の三分の一は鉄道輸送が占めている。食品メーカー様からは最近、グリーン物流や改正省エネ法への対応などから鉄道輸送に関する問い合わせが増え、鉄道コンテナの保有台数もかなり増えた。

 当社はそのため、鉄道輸送に人と技術の両面で注力している。台風に弱いといった部分をどう乗り越えて100%定時輸送の状態に近づけるかが課題。鉄道が安定輸送になってくれば、長距離の場合は陸送よりも鉄道輸送の方が二酸化炭素削減効果がトラックの八分の一と魅力がある。

 ハード面の整備が整う今期は、前期に比べ増収増益の予算組みとしている。当面の目標として経常利益率4・5%を達成したいものだが、まだそこまでいかない。最低でも3%は経常利益率を確保しないと健全な経営とはいえない。それが原資となり、高い輸送品質の追求が可能となる。

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