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業界交差点

この人に聞きたい:第172回
(週刊水産タイムス:08/12/15号)

原料高騰から世界的不況の年に

日本水産 社長  垣添直也氏

 

グループのネットワークが強固に

 2008年がまもなく終わろうとしている。上半期は原料の高騰問題に明け暮れたが、9月以降は米国の金融危機が発端となった不況感が世界中に広がった。こうした中で水産・食品業界はどんな年となったのか。大手水産会社の社長会見から今年を振り返ってみる。

 米国では金融危機による不況で心理的に収縮状態がみられる一方、ITから金融、さらに金融崩壊という流れの中で、ITで再び“いい時代”を築こうという機運も芽生えている。
 オバマ次期大統領は老朽化している鉄道や道路、橋といった社会インフラの整備から経済再生を図る意向を示している。投資の方向性を明確にしており、景況は意外と早く底を打つのではないか。
 グループ経営としては、連結60社、持分法適用会社37となり、共和水産の連結子会社化、笹谷商店のグループ化などがあった。ホウスイと水産流通が中央魚類の子会社となったが、物流では北海道日水が100%子会社になるなど、再編の動きも活発な年だった。
 海外も北米のグレイシアを米国内法で上限の25%まで所有し、南米はエンデペスが予想以上の成果を上げた。
 マトリックス別にグローバルリンクスを見ると、アフリカや欧州で一部空白部分があるものの、海外のネットワークは強固になってきている。
 上期の決算は減収減益で、誠にみっともない数字になった。水産事業ではスリミ・鮭鱒・油脂ミールが利益に貢献したが、南米のSA、北米のK&Pが苦戦。“良い子・悪い子・普通の子”風に言えば、悪い子が目立ってしまった。国内の水産・食品はまずまず健闘。ファイン事業は取引先の一時的な在庫調整が影響した。
 水産事業では、南米DOSAグループと欧州ユーロパシフィコの連結子会社化があったが、ホウスイ・水産流通の再編などで89億円の減収となった。
 利益面ではチリSA社の業績不振、食品における魚肉ハムソーの原料価格高騰、北米K&Pの業績不振、ファインの販売数量減少などが影響した。
 食品事業は月商100億円をキープできる生産・販売体制が整った。魚肉ハムソー(前年比136%)、瓶詰食品(140%)、業務用調理冷凍食品がけん引した。5年をかけてクレハと共同開発した魚肉ハムソーの「エコクリップ」も消費者にかなり認知されてきた。
 家庭用調理冷食はまだ中国問題を引きずっている。特に冷凍ギョーザの問題は当事者にとどまらず業界全体に波及した。
 一方、ちくわ、蒲鉾などのねり製品は原料スリミの高騰分を10億円と見込んでいたが、実際には24億円のコストアップとなった。
 安心安全への取り組みとしては、原料から製造、輸配送、保管といった全ての段階で予防管理をさらに徹底している。中国の品質管理センターを会社化し、機能を強化した。自身が中心となって月3回ペースで行っている品質保証委員会を継続。事故の原因から取り除いていくとの方針で臨んでいる。
 中期経営計画で掲げた数字からは相当遅れているが、環境のせいにはできない。本当に遅れている事業、仕組みそのもの(の完成度)は高いが、出た数字が悪かった事業など、よく見極めていかなくてはならないと考えている。

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