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業界交差点

この人に聞きたい:第185回
(週刊水産タイムス:09/03/30号)

極洋 4月から新中計

(株)極洋 代表取締役社長  福井清計氏

 

持ち味磨き、得意分野で勝つ

 極洋は単体で増収増益、連結でも増益で今期を締めくくれそうだが、リーマンショックを契機とした下半期の事業環境の悪化で、上半期の貯金を食いつぶす形となった。業界では百戦錬磨であるはずの福井清計社長もさすがに、100年に1度の経済ショックの影響が「ここまでひどいとは思わなかった」と心情を吐露する。とはいえ、21年度は次期中期経営計画のスタート。目前に迫った新年度からの戦略について、福井社長の胸の内に迫った。

 ◆今期は波乱万丈の1年だった。
 「何しろ変化が劇的すぎた。水産商事は前半が良かっただけに、後半戦での落ち込みが悔やまれてならない。上期は過去最高の営業利益。正直言って、この貯金を何とか維持したまま、1年を終えてほしいと思ったが、そうはならなかった。為替相場のめまぐるしい変動、金融危機に端を発した国内消費の不振で、下半期は完全に様相が逆転してしまった」

 ◆どの社も事情は同じだ。
 「絶好調だった春先の段階で『このまま行けるはずはないぞ』と社内に警戒心を呼びかけた。やはりという感じで逆風が襲ってきたが、特に11月以降の消費不振は予想の範疇を超えた。現場のマーケットを見ずして相場の判断はするなと日頃から徹底しているが、まさか、ここまでとは思わなかった。せっかくの儲けがみるみる減った。魚のプロとしては恥ずかしい話。実にもったいないことをした。原料手当てで買い負けはなくなったものの、売れなければ話にならない」

 ◆このムードで新年度を迎えたくはないだろうが。
 「上期の貯金が残っている今期は、単独では何とか増収増益で着地できる。ただ、1〜3月は赤字であり、このペースを引きずるわけにはいかない。新年度は新しい中期経営計画の初年度にも当たっており、第1四半期で何としても立ち直る。まずは加工食品がコツコツと着実に稼ぎ、水産商事はウエイトが大きいので、絶えず緊張感を持ち続けることが大事だ」

 ◆水産業界でも大型倒産が相次いでいる。
 「これからも出るかもしれない。相場変動の大波も予想され、良質の原料が比較的安く手に入るケースも想定される。ビジネスの仕方によってはチャンスとも捉えられるが、それから先は具体的に言えない」

 ◆海外で大きな投資がなかった分、助かった面もある。
 「目立った投資は寿司ネタ・冷凍すしの新工場を建設したタイのKUEくらい。為替変動による傷は比較的浅かったのではないか。安心・安全への取り組みは当然として、当面は低価格・国産志向の時代になるだろう」

 ◆秋に新しい海外まき網船が竣工、四国の本まぐろ養殖事業が初出荷を迎えるなど、明るいトピックスも多い。
 「鰹鮪事業は当社の持ち味。極洋水産の第7わかば丸(総トン数760t型、積荷1200t)の建造が順調に進んでおり、9月に竣工する。国際競争力を有した新船であり、これを機に大井川工場も改築し、鰹鮪製品の品質をさらに向上させる。一方、キョクヨーマリンファームが高知・宿毛湾で養殖している本マグロは活け込みから3年を経過し、ようやく10月に初出荷の運びとなった。初年度は4000尾の予定。2年目のマグロも順調に育っている。“カツオマグロの極洋”をさらに鮮明にしていく年になろう」

 ◆冷凍すし事業も手堅い印象を受ける。
 「爆発的な動きはないものの、冷凍すしの宿命とされている米飯の白蝋化(はくろうか)の問題もなく、欧米を中心に着実にマーケットを創造している。中国、韓国なども冷凍すしを手掛けている会社があるが、日本の水産会社として品質、美味しさの点で絶対に負けない」

 ◆子会社化した珍味メーカーのジョッキの展望は。
 「素材の良さが認められ、大手コンビニエンスで着実に浸透している。ただ、2000億円と言われる市場のうち、まだ60億円程度。まずは100億円にもっていく」

 ◆冷凍すしの海外市場開拓や、鰹鮪事業の強化など、他の大手水産と比べ、スケールより内容で勝負しているようにみえる。
 「水産商事における北洋魚の扱いは結果的に日本で最も多いと思うが、別にナンバーワンを狙っているわけではない。大量に原料手当てし、大量に販売すれば儲かるとは限らないのが水産の世界。強みを持った分野を磨き、会社としての特徴を出していくことで存在感を出せればいい。1にも2にも内容だ」

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