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業界交差点

この人に聞きたい:第195回
(週刊冷食タイムス:09/06/16号)

生産能率より“高質化”を推進

株式会社ニチレイフーズ 取締役専務執行役員  内海昌彦氏

うつみ・まさひこ 昭和50年日本冷蔵入社。営業畑から、商品担当などを経て、相馬社長の下で生産担当に。昭和26年広島県尾道生まれ。同志社大法卒。

無理させないことが安全安心に

 史上最悪の厳しい業界環境の中で、前期、辛くも事業利益を伸ばしたニチレイフーズ。生産本部長を務める内海昌彦専務は、長年の営業部門の経験を基に、コストダウンの秘密を「生産能率よりも高質化だ」と語る。

 ――工場の手直しをかなり精力的に進めている。
 内海 “見た目”も含めたクリンネスと挨拶をくどいほど指摘しています。出来るところから少しずつですが、少し直すと次々に直したいところが出てくるものです。基本的に求めているのは「見ていただく工場」。その先例となった森工場(北海道)は昨年1498名の見学者に来ていただきました。地元の小学校のカリキュラムに工場見学が採用され、修学旅行のコースにも指定されました。見てもらうようになると、従業員の意識も変わります。

 ――見学した消費者の信頼感にもつながる。しかしどこでも受け入れられるわけではない。
 内海 いや、工夫次第ですよ。白石工場は工場内を整理したらスペースが空いて、見学者通路を確保することができた。これも改革の一つ。せっかくいい結果を生み出したんだから、私はそれを自慢しろ、と各工場に求めています。

 ――自慢しろ?
 内海 「いいこと活動」と社内で表現していますが、ちょっとした改善で良くなったことを他の工場にも活かそうという発想。やってみれば、わずか5カ月で1046件も自慢のタネが集まった。国内に限らず、タイ、中国やニチレイアイスからも“自慢”が出てます。特にコスト削減につながる自慢だけで180件。この結果、グループ全体で2400万円のコスト削減になりました。「いいこと活動」の優秀な提案者は相馬義比彦社長が出席する表彰式で発表し、社長から直接表彰を受けます。活動を始めてから工場従業員のモチベーションが上がってます。いろいろやってますが、それも私が生産の素人だからやれるんです。

 ――コストダウンはどこでも取り組みは真剣。しかし次第に手詰まり状態になっているようだ。
 内海 冷凍食品市場が右肩上がりの時代は生産効率向上が最大のコスト対策だったが、いまは“品質向上”が決め手だ、と私は考えてます。毎分40ショットの作業を45、50に生産性を上げることに努力してきましたが、本当にそれでいいのか。生産性を追及する余り、型崩れが生じ、ロスも生まれて、結局は廃棄量が多くなっていた。いま、それでいいのかと考え、逆にていねいなモノづくりに発想を変えさせています。いい商品を作れば、結局は生活者の支持が得られ、売上げも伸びる。

 ――生産性は評価しない、と?
 内海 評価基準も変えました。営業利益では評価しない、と工場長に宣言。求めているのは(1)労務災害ゼロ(2)クレーム半減(3)廃棄半減(4)歩留まり(5)機械の稼働率の5点。決めた生産量以上はつくらない仕組みにしました。無理するから事故も無駄も出て、品質低下を招き、安売りになる。身の丈に合わせた構造に変えないと。

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