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この人に聞きたい:第227回
(週刊冷食タイムス:10/02/09号)

中期経営戦略「維新」で業務用1000億円めざす

旭食品 代表取締役社長  竹内成雄氏

 

 旭食品の竹内成雄社長は展示会「フーデム」初日の4日に記者会見を開き、今期からスタートした中期5カ年経営戦略の「ISHIN」(維新)による改革について概要を語った。新事業の具体的な内容などについては3月16日に開催する近畿旭友会で発表する予定。

コスト削減必要だが残すべき部分は残す
 デフレスパイラルの真っ只中だ。しかし、当社のビジョンは「食の豊かさ守り、食の楽しさを開拓し続ける旭食品グループ」である。私個人としても、価格が安いことはいいことではあるが、行き過ぎれば消費者にとって食品が本来持つ価値が失われ、メーカーも価値ある商品が開発できなくなってしまうと懸念している。
 もちろん、価格競争に負けない体質作りも進めなくてはならない。特に当社の販管コストは競合他社に比べ高い。生産部門があり末端の構成比率も大手一辺倒ではないので単純比較はできないが、だから高くていいというわけにはいかない。
 そこで、来期からこれまでの予算積み上げ方式を変える。具体的には、本社、営業の統轄をしている東京本部、事業開発本部などの費用、いわゆる本社費を受益者負担にする。支店のコスト管理は支店ごとに行なっているが、本社費は各支店から売上げの何%かを徴収していた。
 東京本部や事業開発本部は少数精鋭にすることでコスト削減を図っており、負担方法を変えたからすぐにコスト削減できるというものではないが、コスト意識は強くなり、少数精鋭でスタッフ個々の能力も高まる。
 ただし、当社は地域密着・末端密接の卸として立脚してきた。その点はコストがかかるからといっておろそかにはしない。
 当社の販管費が高いのは営業マンが多いからでもある。末端を回っている営業マンも少なくない。(取引先の本部だけと付き合うより)効率は悪いかもしれないが、末端をフォローする力も大切だと考えている。実際に、本部から商品を末端に流しても、末端店舗から来る発注は消極的な数量の場合が多い。つまり、同じチェーンでも商品が並んでいない店があり、発注も少なめになってしまう。スーパーも末端フォロー力を問屋に要望している。
 低価格も大事だが、問屋の本来の価値は配荷力であると思う。商品がタイムリーかつ効果的に陳列されているかは重要なことだ。選挙で言えばどぶ板選挙のようなもの。大手問屋と同じ土俵で戦っても意味がない。

単価下落で増収減益に
冷食のみ単価高となる
 第3四半期(4〜12月)の売上げは1.1%増。1〜3月は例年同じ動きなので通期売上げも1%増で着地するだろう。
 営業利益は12月まで前年比20.6%減。経常利益13.7%減。税引前純利益22.0%減。
 経常利益が減ったのは単価ダウンの影響が大きい。数量は3.7%増だが平均単価は1個あたり2・67円下がっている。12月まで2億2000万個の扱いがあるので、大きなマイナス。
 カテゴリー別では冷食を除き全て単価が下がった。ドライは数量5.7%増、単価3.2円安。同じくチルドは0.5%増、3円安。菓子0.9%増、1.13円安。酒2.2%増、0.7円安。冷食だけが同1.8%増、1.89円高だった。
 税引前純利益は役員の退職金準備金の引き落しをはじめたことが影響して下がるが、将来への準備なのでしかたがない。

年内九州に新センター
今後は東名阪拡大必須
 数量が伸びたのは近畿の生鮮100円ショップのセンターが昨年2月からスタートしたことが大きい。地域では九州が伸びている。これはディスカウントセンターとの取り引きが増えたことが大きい。このため福岡支店が手狭になっているので、佐賀県鳥栖市に1万坪を取得し、福岡から移転する形でセンターを建設する。年内に落成する見込み。
 鳥栖は立地的に北九州をカバーできる。鹿児島までは無理だが熊本まではいける。九州で大きく伸びたのはこれまでが少なかったためでもある。鳥栖のセンターは第1期建設後も順次増設していく。
 その意味ではこれまで少なかった中京地区も伸びているので、センターをもう1つ、名古屋から東側に作りたい。
 どうしても伸びないのが四国。人口は400万人台を切ろうとしており、年に1%の売上げが消えていくので、今後は東名阪に相当力を入れていくことになる。北陸と東北はアライアンスで対応する。

惣菜は倍増の600億を
料飲店はM&Aで
 新規ルートの拡大も進める。
 当社は特に業務用が少ない。当社の業務用といえばスーパー惣菜だが、全社でも300億円ほどしかない。惣菜ユニバーシティなどの取り組みを行なっているのだから、ここを伸ばす。スーパーとの取り引きは多いが、全てのチェーンで惣菜を任せていただいているわけではない。そこで、現状の2倍の600億円をISHIN(09〜13年度の5カ年)の中で達成したい。
 もう1つは料飲店を対象とした業務用分野の拡大。仕事的に当社の雇用形態と異なるため自社ではできないが、首都圏ではM&Aで拡大する。都市部では20億円規模の業務用店が多く存在する。それを数社取り込む。既に話を決めたところもある。
 現状で当社の料飲店向け業務用は十数億円しかなく、それも高知県内だけの展開。20社を取り込めば400億円になる。惣菜とあわせ業務用で1000億円事業に育てたい。

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