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この人に聞きたい:第232回
(週刊水産タイムス:10/03/15号)

築地トップに聞く

丸千千代田水産 社長  石橋利至子氏

 

しなやかな順応力を大切に

 ――年末商戦で他社が苦戦した中、健闘ぶりが目立った。
 石橋 おせちのセット物やフレッシュなものが大変喜ばれた。今年は、単品よりもセット物を求める傾向があった。
 練り製品の荷動きを心配していたが、ハーフ物を中心に売れていき、結果として08年を上回る量を販売できた。
 09年末は、どんなに不景気であってもお正月の趣を忘れないのが日本人だと痛感した。若い人であってもお正月を大切にしている。
 昨年末は新企画として、無農薬、ノンアレルギーにこだわった当社のおせちを鮮明な写真と共に紹介し、好評だった。

 ――今期の決算は。
 石橋 08年度は有価証券の評価損で損益8億円を計上したが、09年度は純益1億円を確保できると予想している。
 アジの開きは築地でトップの扱いで、合物課が大変健闘している。また、08年度はコウナゴ(小女子)が不漁であったが、今年度は漁もあり、まずまずと聞いている。
 一方で倉庫代や運賃などの経費が増加した。今は物流費がかさむ時代で、その費用を予測することが重要だ。

 ――人気の朝食シリーズは。
 石橋 複数の商品を統一したパッケージでシリーズ化し、“日本の朝食シリーズ”と題して量販店の売場作りまで手がけ、大変好評をいただいている。鮭フレークや佃煮など朝食で扱う商品は絞られてくるが、焼魚をアイテムに加えたように、幅を広げて続けていきたい。

 ――立ち上げて間もない冷凍食品課は。
 石橋 外食向けに冷凍商品を開発しているが、まだ3年目で軌道に乗せていくのはこれから。事業の多様性のためにも、じっくりと育てていきたい。
 販売数は少しずつ増えてきている。先方のニーズを的確に捉え、当社が冷食を扱っていることを徐々に認識してもらえるようにしたい。

 ――昨年からスタートした研修会は。
 石橋 部課長、係長・主任、社員の3つに分けて、全社員が階層別研修を行った。外部の専門家を講師に招き、コンプライアンスやリーダーシップを学ぶ。昭和の時代は頑張れば明日に希望が持てたが、今は違う。このような厳しい時代だからこそ、社員1人1人が自分の役割は何か、しっかりと考える必要がある。来年度もさらに進化した階層別研修会を実施する予定だ。社員の定着率は既に良い状態だが、人はかけがえのない資産であり、今後も大切に育てていく。

 ――洒落た社員食堂が真ん中にあり、社員を大事にしている姿勢が伺える。
 石橋 見本を試食したり、新製品を調理したりする場所が必要であったという面もある。
 社員はこの食堂でブッフェスタイルの食事ができる。季節を通してのイベントを大切にし、四季を感じるメニュー展開になっている。

 ――今後の市場のあり方について。
 石橋 市場移転は各社体力のあるうちに実行したい。仲卸業者さんとも一緒に1つの方向性を持つことが重要。場内物流の情報化やコールドチェーンの確立など、オール築地で考えていきたい。
 世界中から見学者が来る現状を踏まえ、見学者用通路を新設する必要に迫られている。
 築地は古くからの体質が続いていると言われるが、これからは時代の流れに立ち向かう、しなやかな順応力が必要ではないでしょうか。

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