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この人に聞きたい:第277回
(週刊水産タイムス:11/02/07号)

マルハニチログループ、新天地の豊洲から新たな歴史を

(株)マルハニチロホールディングス 代表取締役社長  久代 敏男氏

 

国内で勝ち、海外も打って出る

 昨年末から始まったマルハニチログループの本社移転が完了し、この2月1日で最先端の複合ビル「豊洲フロント」を舞台に新たな歴史がスタートした。マルハニチロの経営統合から3年。「旧マルハ」「旧ニチロ」といった概念がほとんど消え去った今、今回の会社移転が「マルハニチロ」の本当の意味でのスタートといえるのかもしれない。(本紙社長・越川宏昭)

 ――何よりも豊洲地区の変貌ぶりに驚いた。今やマンション、商業施設、大学まであり、「憧れの街」に変わってしまった。大手町から豊洲へ、昔だったら「都落ち」と言われたかもしれないが。
 久代 何と言っても大手町は東京の中心。交通網の基点だから便利なのは当然だが、豊洲も今や「住みたい町ナンバーワン」。社員には今回の移転を肯定的に受け止めてもらえたようだ。複合ビルや病院、商業施設など、建設中や計画段階の建物が多くあり、まだまだ発展し続ける地域だろう。

 ――そろそろ社長になって1年、今回の移転がマルハニチロの統合の総仕上げにもなった感がある。
 久代 その意味ではタイミングも良かった。2階に総合受付と応接室、テストキッチン、プレゼンルームなどがあるが、あとは3階と4階に事務所を構える。1フロアの1529坪は日本一の広さ。マルハニチロ食品関東支社や子会社のアクリフーズも含めた大世帯だが、垣根がなく、お互いに意思疎通が図りやすい。顔と顔でコミュニケーションが取れる。

 ――統合も実をあげる段階に入っているが、今期の業績は順調のようだ。
 久代 第3四半期(平成22年4月〜12月)は売上高が6403億円で微増、営業利益は55%増の170億円。営業利益の目標は180億円だから、あと10億円だが、例年1〜3月は良くてトントン、悪いときはマイナスになる時期なので10億円といっても決して油断できない。

 ――とはいっても営業利益が大きく伸びているのは、社長1年目としてホッとしたところではないか。
 久代 水産セグメントの復活が大きい。伊藤滋マルハニチロ水産社長(マルハニチロHD代表取締役副社長)は「本来の姿に戻っただけ」というが、何といっても水産と食品がマルハニチログループの両輪。食品セグメントも原材料・資材の高騰、末端の低価格化という厳しい事業環境の中にあって、コスト削減、合理化などに努め、手堅い業績を堅持している。保管物流セグメントの現状は不本意だが、全体としては今期の業績がマルハニチロにとって今後のベースに近い数字となるはずだ。

 ――来期から始まる新中期経営計画について聞きたい。現行の「ダブルウェーブ21」の数値目標である「売上高8500億円、営業利益180億円」から、どう上乗せしていくかだ。
 久代 売上高も大切だが、それ以上に大切なのが営業利益。現在詰めている段階だが、いずれにしても目標と現実(結果)に極端な乖離(かいり)があってはならない。現実的ではない目標を掲げても仕方がないが、はじめから目標が低ければ本来持っている力は出てこない。一生懸命に助走して、大きくジャンプすれば何とか手が届くのでは――そう感じさせるような目標設定がふさわしい。
 
 ――この3年、不採算事業の整理、生産工場の再編とともに、設備投資も行ってきた。
 久代 今期も160億円くらいの設備投資はしている。食品関連では北海道、青森の生産拠点の整理統合(5社7工場をマルハニチロ北日本として一本化)が済んだ。土谷食品(山形県)もカップゼリーが好調で設備を増強。九州では林兼デリカ(熊本県)を傘下に入れて冷食事業を強化した。マルハニチロ食品の大江工場(山形県)、アクリフーズの群馬工場なども販路拡大で設備増強を図っている。宇都宮工場のバイオ事業も強化している。その一方で新潟、湘南のベンダー機能の統合、ニチロ工業の売却などに踏み切った。

 ――水産セグメントは。
 久代 北米スケソウ母船2隻の一元管理や、資源アクセスの面では大洋エーアンドエフの大型の海外まき網船が2隻完成。クロマグロ養殖事業もマルハニチロ水産が和歌山県の串本に新漁場を求めるなど、着々と手を打っている。

 ――2年前にマレーシアのエビ養殖会社(アグロベスト社)を傘下に入れたが、その後は海外のM&Aの話がなかった。
 久代 経営統合によるコスト削減や事業のシナジー効果など、一定の成果を挙げることができた半面、海外市場への思い切った展開や、M&Aが思うように進まなかった。世界には投資すべき余地がまだまだある。国内、海外を問わず、いい案件があれば、ぜひチャレンジしたい。特に海外はリスクがあり、十分な調査を必要とするが、我々にとっては足を一歩前に出す時期。考えてみれば長年にわたって「整理、整理」を続けてきた会社、そろそろ打って出たいという気持ちが強い。

 ――今年はぜひ実現してほしい。
 久代 また、海外進出も当然視野に入れるが、まずは国内でしっかり勝つこと。さらなるシェア拡大のために、統合によってシナジーを発揮している商品開発力、技術力、販売力をさらに磨いていく必要がある。

 ――今はグループ全体が「よし行くぞ」という気持ちになっていると思うが、今後の方針は。
 久代 @成長戦略の策定A経営体質の強化B財務体質の改善CCSR経営の徹底――を基本に据える。所詮、我々は社会に生かされている企業。社会貢献の仕方はいろいろあると思うが、我々は優良な食料、タンパク源を国民、消費者に提供することで、持続可能な社会を実現する一員としての責務を果たしていきたい。そういう精神を持ち続けることのできる経営をこれからも心掛けていく。

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