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この人に聞きたい:第314回
(週刊冷食タイムス:11/11/01号)

−35℃陸路輸送を実用化

(株)矢野特殊自動車 代表取締役社長  矢野 彰一氏

(やの・しょういち)小松製作所勤務を経て、平成5年入社。平成19年6月から現職。福岡県出身。昭和36年2月生まれ、50歳。早大大学院理工学科修士課程卒。

多温度帯輸送も鉄道で実現

 冷凍車の開発・設計等を請け負う矢野特殊自動車(福岡)はトラック、鉄道での低温物流を独自技術で支える。鉄路で2室式、陸路で超低温輸送を実現するなど物流を一層向上させた。矢野社長に最新状況を聞いた。

 ――冷凍車製造の受注状況は。
 矢野 東日本大震災の影響で4〜5月は開店休業状態でしたが、6月から受注が堅調になってきました。年内は冷凍車の製造予定が多く入っています。九州エリアの顧客の場合、震災後は輸送距離が伸びています。車両代替受注も今後は増える可能性があります。

 ――社名の“特殊自動車”とは。
 矢野 大型・中型の各種冷凍車、31フィートJR冷凍コンテナなど、冷凍食品を運ぶ配送車両を意味する、とご理解ください。タンクトレーラや高圧放水車など様々な車両の設計・製造等を手掛けていますが、受注の8割が保冷・冷凍車です。食品低温物流を当社が支えていると自負しています。

 ――JR冷凍コンテナは普及?
 矢野 特定ユーザーとは取り組みが増え、機能も進化しています。従来の冷凍コンテナは1室式で、冷凍食品と冷蔵食品を同時に鉄道輸送するのは困難でした。そこで当社は2室式の冷凍コンテナ「2エバポレータJR貨物クールコンテナ」を実用化しました。

 ――名称のエバポレータとは?
 矢野 冷却装置を意味します。1ユニットで2つの異なる温度帯を厳密に管理します。トラック輸送では2室温度管理がスタンダードですが、鉄道コンテナ輸送では世界初です。都内開催の東京トラックショーでこのほど初披露しました。輸送効率をさらに高めた大型冷凍車、庫内温度をマイナス35度Cに保持する大型冷凍車もトラックショーに出品し、冷凍食品の物流品質向上へ提案しました。

 ――輸送効率をさらに高めた大型冷凍車とは具体的に。
 矢野 25t車シャーシに搭載する冷凍ボックス内高を20cm上げて、冷凍食品を積み込むスペースを広くしました。トラックの高さは限界3.8mに規制されています。そこで冷凍ボックス内高を上げるため、シャーシと地面との間を狭くしました。タイヤを3軸から4軸に改め、個々のタイヤを小さくし低床にしました。低床のため冷凍機ユニットをシャーシ下部ではなく、冷凍ボックス前壁外側に張り出すタイプにしました。

 ――庫内マイナス35度C冷凍車も冷食業界の注目を集めるはず。
 矢野 従来の限界はマイナス25〜30度Cで、それ以下に低温設定すると冷凍ボックスが破壊される恐れがあります。そこで地場ユーザーの要請に応え、外板と内板から成るボックスパネルを新たに開発し、マイナス35度Cに耐えるものにしました。

 ――地場ユーザーの要請が開発の出発点?
 矢野 はい。九州の顧客満足度を向上させる技術は全国に水平展開できます。今後も技術のパートナーとしては当然のこと、サービスや納期などの対応力を高め、顧客の問題解決に努めていきます。

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