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業界交差点

この人に聞きたい:第319回
(週刊冷食タイムス:11/12/06号)

倉庫のリスク対策を最優先

東京冷蔵倉庫協会 会長  御手洗 一宇氏

(みたらい・いちう)日本水産に昭和44年入社、平成12年取締役、ロジスティクス事業部長を経て19年日水物流社長。東冷倉会長に今年4月就任。大分出身、67歳。

業界PRで存在感も高める

 東日本大震災の直後、東冷倉会長に就任した御手洗一宇氏は「常に震災がつきまとう1年だった」と今年を振り返る。「来年も厳しい年になる」と気を引き締め、リスクマネジメントの確立を最優先課題に挙げる。

 ――会長に就任して8カ月。
 御手洗 東日本大震災を受け、あっという間に過ぎ去ったというのが実感です。先日、得意先の訪問も兼ねて仙台、石巻、気仙沼を巡回しましたが、空き地や瓦礫の山が残っており、特に石巻の港は水揚場所が水没したままでした。東京都の冷蔵倉庫も震災当時は困難に見舞われましたが、人的被害もなく、事業所は総じて復旧しています。

 ――浮上した課題は。
 御手洗 震災や異常気象による自然災害、欧州発の経済問題や中東の政変、TPPやFTAの波も日本に押し寄せています。こうした変化で、食のサプライチェーンのひとつを担う冷蔵倉庫業界は、自然災害に対する未経験の対応、動力を電力に頼る節電、軽減の対応など、多くのリスクマネジメントの確立が必要になっています。一方、荷主は震災による前倒しの生産、原発事故による国際物流での制約など大きくモノの流れが変わりつつあります。タイの大洪水は、食品自給率40%を割る日本にとって大きな打撃となりつつあるでしょう。異変にどう立ち向かうかが大きな課題です。

 ――企業単体で対応が難しい。
 御手洗 業界全体のリスクマネジメントの確立と信頼性を高めることは急務だと思います。そういう意味で、来年は更なる異変に立ち向かうべく、会員各社と向き合い一緒に知恵を出し合う、一致協力していく所存です。

 ――東京都の荷動きの現状は。
 御手洗 在庫が極めてタイトで厳しい状況が続いており、年末年始も同じ状況が続くと見込まれます。冷蔵倉庫は在庫が増えるばかりでは利益が増えないのが実態です。今年1〜10月累計の庫腹概況は前年同期比で総入庫高3.2%増222万8千t、総出庫高2.7%増219万9千t、平均在庫高5.6%増48万7千tと全て上回っていますが、回転数は在庫が高水準で推移し0.13回減5.50回と前年同期を下回っています。

 ――在庫が増えていると。
 御手洗 牛肉や農産の荷動きは原発事故の放射能汚染、風評で停滞が生じました。一方、豚肉や鶏肉の荷動きは活発化し、これは生活者の消費動向の変化を反映したものと考えられます。冷凍食品は電力使用制限対策で作りだめを行ない在庫高につながり、また、東北地方に流通する食品が東京都の冷蔵倉庫に寄託が増えました。さらに、アイスクリーム業界が前年の猛暑を受けて今年は増産しましたが、想定を下回る気温で需要が増えず過剰在庫となりました。いずれも徐々に解消されてきてはいますが、在庫はかさんでいます。

 ――業界PRも広く必要では。
 御手洗 11月1日からホームページのリニューアルを行ない、会員以外にも冷蔵倉庫業界の存在感を高めるべく取り組んでいます。

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