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この人に聞きたい:第384回
(週刊水産タイムス:13/03/25号)

サーモン需給動向、需要は年率7〜9%増加

ノルウェー水産物審議会(NSC)マーケット・アナリスト  ポール・オンダール氏

1991年トロムソ大学水産学部卒業後、大学勤務を経て、94年にNSC入り。マーケット・アナリストとして活躍。10年前からサーモンとトラウトを担当。1966年、ノルウェー生まれ。

 ――アナリストの仕事はどういうものか。
 オンダール NSC本部はノルウェー・トロムソにあるが、定期的に海外の事務所を訪問し、各地域のサーモンやトラウトの市場動向を調査している。それを基に、ノルウェーの水産業界向けのレポートを定期的に作成したり、セミナーなどを行っている。

 ――今年のサーモンの需給見通しについて。
 オンダール アトランティックサーモンの需要は毎年平均7〜9%と堅調に伸びている。今年も引き続き需要は伸びる見込みだ。

 供給面については、昨年は記録的な生産量の伸びを示した。世界的なサーモンの生産量は前年対比22%増の178万t(32万t増)。ノルウェーだけ見ると18%増の118万t(16万t増)だった。

 今年の世界的なサーモン供給量はほぼ前年並み(前年対比マイナス1%〜プラス3%)の予想だが、ノルウェーだけ見ると3〜7万tの減産(マイナス3〜6%)を見込んでいる。

 ――ノルウェーの生産量が減る要因は。
 オンダール 昨年は海水温が異常に高かったため、生産量が増えた。今年のノルウェーのサーモン養殖場の平均海水温は3月中旬時点で3.6℃と2011年並み。前年同期(5.3℃)と比べて約2℃も低くなっている。そのため、1〜2月の累計給餌量は前年同期比18%も減っている。

 ――昨年末以降、サーモンの価格は高騰。3月中旬時点のノルウェーサーモンの浜値は前年同期比2〜3割高で推移している。
 オンダール サーモンの価格が上昇しているのは供給が需要に追いついていないため。今後の価格の予測は難しいが、世界的展望では今後2年間は高い水準で推移していくだろう。

 ――需要が堅調な国はどこか。
 オンダール クリスマス以降、フランスや英国などEU諸国中心に需要が伸びている。EUのような伝統的なサーモン市場では価格が上昇しても消費量は減らず、逆に増えている。

 ――中長期的なサーモン需給の見通しは。
 オンダール 需要・供給ともに確実に伸びると思う。需要は毎年伸びており、数年前に比べてその伸び率は高くなっている。ノルウェーのサーモン業界は今後も持続可能な形で生産を増やしていくことが可能だと思う。それができれば、価格を安定的に保つことができる。

 既存のノルウェーの養殖場での生産量はほぼ頭打ちだが、新規で50ライセンスを発行した。その分の生産が2015年以降約5万tは増える見込み。

 ――なぜサーモンの需要は堅調なのか。
 オンダール サーモンの特長であるヘルシーさや利便性の高さが、世界的な食のトレンドにはまっている。その味は世界各国の様々な料理に合う。また、計画的に生産されているため、販促キャンペーンなども組みやすい。

 欧州でも生のサーモンがいつでも買うことができ、ポピュラーな魚として定着している。一方、白身魚などは冷凍品が多く、日によって店に置いていない場合もある。

 昨年はサーモンの供給量が大幅に増えたが、価格はある程度維持された。世界のサーモン市場がそれだけ広がっているということが証明された。

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