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この人に聞きたい:第772回
(週刊冷食タイムス:21/02/09号)

食品機械を成長事業へ

清本鐵工(株) 代表取締役社長  清本 邦夫氏

(きよもと・くにお)1967年宮崎県延岡市生まれ。94年日商岩井入社。実父で先代社長の英男氏(故人)に請われ99年入社。2006年取締役製品事業本部長。17年から現職。玉川大学、米国ケースウェスタンリザーブ大学卒。

過熱蒸気の価値を伝える

 過熱水蒸気調理機で市場をリードする清本鐵工だが、新規参入が増えるなど事業環境の変化が激しい。組織改革を含めた戦略の練り直しを進める。

 ――過熱水蒸気調理機の国内パイオニアとして知られる。
 清本 1995年頃に「スーパーオーブン」の開発を手がけ、1号機は宮崎県串間市にある黒瀬水産の前身の企業に98年納入しました。過熱蒸気は熱伝導が早く、短い時間で焼成できます。食感を崩さずに早く加熱できるほか、過熱蒸気の「極低酸素環境」で加熱するため酸化しにくい、乾燥を防いで歩留まりを改善するなどのメリットもあります。焦げ目がついたハンバーグをふっくらジューシーに焼き上げるには過熱蒸気が適しており、大手コンビニベンダーで採用されました。霧島酒造(宮崎県都城市)は芋焼酎の芋麹を糖化する工程で使っています。

 ――新規参入が増えている。
 清本 過熱蒸気の市場が拡大していることの表れでしょうが、顧客によっては付加価値の高い商品が作れるならランニングコストが多少上がっても導入したいという企業がある一方、そのコストでは難しいという企業もあります。今は過熱蒸気の価値をどう訴求できるかが問われています。新商品の開発や人手不足対策につながるなどコスト以上の価値を伝えられるよう提案力を高めていきたい。

 ――船舶や橋梁では知名度が高いが、食品業界も強化する?
 清本 食品、エネルギー、インフラ、環境の4つを中核事業分野として打ち立て、グループ内の事業集約をこの5年間で進めてきました。これから食品分野をはじめ各事業の特質に合わせて育成、強化を図ります。
 先代の頃から食品機械メーカーになるという思いは強い。自分たちの機械で作られた商品がスーパーに並ぶことは大きな誇りであり、企業ブランドを確立するうえで重要な要素の一つです。

 ――昨年の業績は?
 清本 売上高は単体で約167億円でした。今期(2021年3月期)は新型コロナの影響で減収減益を予想していますが、利益5〜6億円は確保できる見込み。ただ、食品機械と製菓機械の売上げ構成比が数パーセントにとどまる。そこで新中期経営計画(3カ年)を今年4月から実行し、食品機械と製菓機械を一つの部門に集約して独立させます。これまでは製品事業本部内の営業部課内にあったため、各事業の販売成績が見えていませんでした。これを“見える化”し、事業のポートフォリオを再構築していきます。

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