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この人に聞きたい:第776回
(週刊冷食タイムス:21/03/09号)

過熱蒸気炊飯システム拡販

エースシステム(株) 代表取締役  佐古 圭弘氏

(さこ・よしひろ)高校卒業後、会社員を経て20歳で独立。8年後の1996年法人化して現在に至る。67(昭和42)年12月13日生まれ、53歳。大阪出身。農業従事者の高齢化に危機感を抱き、ITを活用したスマート農業もめざす。

大学との共同研究が転機

 エースシステム(株)(大阪府和泉市)は過熱水蒸気を利用した連続炊飯システムを手掛けており、機器の拡販は大阪府立大学との共同研究が転機になった。

 ――なぜ炊飯機器を?
 佐古 知人から相談を受けたのがきっかけです。その後、大阪で腸管出血性大腸菌O‐157による食中毒事件が起きました。それで殺菌について勉強したところ、ほとんどの菌は121度C、4分(レトルト殺菌)で死滅すると知り、過熱水蒸気について研究しました。開発に5年かかり、1号機を発売したのは1999年。ただし、まだ炊き上がりが不安定で、パラパラになってしまうこともありましたが「炒飯にぴったり」と大手冷凍食品メーカーが採用しました。それでも発売から10年間で販売したのは10台くらいでしょうか。

 ――かなり少ないのでは?
 佐古 NC旋盤の開発やベアリングを削る機械を手掛けており、まだ本業ではありませんでした。

 ――大阪府立大との共同研究に至った経緯は?
 佐古 約13年前、橋下徹大阪府知事が中小企業を育て、産学官の枠組みを超えて世界に通用する大学を作ろうと、大阪府立大学内に産学官連携機構(当時)を設立しました。銀行を通じて当社に声がかり、科学的な検証を開始したのが転機になりました。担当教授はシャープの「ヘルシオ」の基礎開発に携わっており、蒸気に対する理解が深いことが幸いしました。
 教授の教え子が食品メーカーの上層部に多く、挨拶がてら研究室を訪ねた際に、実機を見せながら「これからは蒸気で炊飯する時代だ」と講義するわけです。当社にとっては研究室がショールームで、教授が営業マン。大学の信頼度、知名度を背景に炊飯システムの成約にとんでもない追い風が吹きました。世界で初めて無浸漬で炊飯できることを立証したのも、教授の提案がきっかけ。2015年に商品化しました。

 ――野菜や肉にも活用している。
 佐古 野菜や肉、魚にも過熱水蒸気が使えることがわかり、調理した食材を真空パックすると、賞味期限は冷蔵で平均1カ月。すでに在宅介護事業者向けにテスト販売しています。湯せんやレンジ調理、サラダなどは開封しただけでメニューが仕上がるため、ホームヘルパーが食事の準備に費やす時間が短縮できます。同時に、農家が今まで廃棄していた規格外品、余剰生産分を活用することで、農家の収入を上げることもできます。

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