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この人に聞きたい:第777回
(週刊水産タイムス:21/03/15号)

「できることは何でもやる」

(株)関門海  山口 久美子社長

(やまぐち・くみこ)1972年3月、大阪府生まれ。CI推進本部長、営業企画部長、副社長を経て2018年6月から現職。帝塚山学院短大家政学科服飾専攻卒。

 「てっちり」「てっさ」の大阪を本拠に、とらふぐ料理専門店「玄品」を全国に73店舗展開する。海外は中国(上海)、シンガポール。コロナのダメージが続く中、様々なキャンペーンや通信販売の強化などで巻き返しを図る。

 ―コロナとの戦いから1年。未だ終息に至らず、肝心のワクチン接種も心もとない見通しの中で、今後の先行きに不安感が漂っています。

外出自粛や宴会中止が痛手

 山口 昨年4〜5月はほぼ全面的な臨時休業。その後も外出自粛や宴会需要の減少などで、売上げが確保できない状態が続きました。「とんでもないことになった」というのが当時の偽らざる心境でした。
 10月には「玄品」40周年記念キャンペーンで回復傾向にあったのですが、その後の第3波で再び厳しい状況に追い込まれ、今に至っています。

家庭でも気軽にフグを味わって

 ――外食事業はどこも瀕死の状況。どのように対応してきましたか。
 山口 とにかく「できることは何でもやろう」の精神で進んできました。巣ごもり需要に向けたデリバリーやテイクアウトをはじめ、新たにスーパーマーケットなどでの外販にも挑戦しました。農水省の助成金を活用したキャンペーンも含め、今後に向けての新たな足掛かりになったと思っています。特に大手とタイアップした通販事業は飛躍的に伸びており、今後の販売戦略の大きな柱の一つになると位置付けています。

 ――新しい芽が出てきた半面、今までになかった製造や加工といった新たな仕事も増えた。社員は大変ですね。
 山口 経費圧縮を徹底しながら、少しでも可能性のある仕事に挑戦していかなければ、かつて経験したことのない今の苦難に持ちこたえることはできません。大阪と東京の往復では、ごく当たり前のことですが、安い新幹線チケットを買います。今は席がすいているので、普通車もゆったり座れて、グリーン車と変わりません(笑)。
 コロナ禍にあっては、私同様にスタッフも必死です。店舗では、様々な感染対策を徹底しながら、お客様に安心してお召し上がりいただけるよう、心を込めたサービスに日々努めています。
 本来なら私が社員を激励し、鼓舞する立場にあるわけですが、逆に社員から元気をもらっているような状況です。本当に有難いと思っています。

 ――今年に入っても様々なキャンペーン企画を実施しており、テイクアウト商品も強化していますね。

大手とタイアップ通販が飛躍的伸長

 山口 フグの本場・下関から直送した2〜3sの天然トラフグを格安コースで提供しているほか、「春のスペシャルコース」ではフグ業界では常識を超えた4000円というリーズナブルな価格で提供しています。テイクアウトや宅配サービスも含め、これまでは高嶺の花だったトラフグが「気軽に家庭で味わえるようになった」というお客様の声を聞けるのはとてもうれしいことです。
 コロナがいつ終息するかは分かりませんが、私たちは、フグ本来のおいしさを一人でも多くの人に知っていただきたいという思いで、新たな取り組みにも挑戦していきます。コロナに負けるわけにはいきません。こうした状況の中でも繁盛している店はあります。「攻め続ける以外に生き延びる道はない」と覚悟しています。

 ――これから何を大切にしていきますか。
 山口 究極のおいしさを追求し続けることが「玄品」の名の由来になっています。この原点は、コロナ禍にあろうがなかろうが、永遠に変わることのない理念です。
 2017年にオープンしたシンガポール店、19年に中国一号店としてオープンした「玄品ワイハイ店」ともに賑わっています。中国はコロナ前の売上げに回復し、シンガポールは過去最高の業績です。コロナ禍を抜け出したのかもしれません。

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