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この人に聞きたい:第844回
(週刊水産タイムス:22/07/25号)

パンガスリミで業界に貢献

明弘食品(株) 代表取締役  明神 宏幸氏

(みょうじん・ひろゆき) カツオ一本釣り漁業を営む船主の家に生まれる。明神水産から独立し、1996年土佐鰹水産設立。2012年廃業し、13年明弘食品設立。1946年7月生まれ、高知県出身。

 カツオ一本釣り漁業を営む船主の家に生まれ、カツオの加工事業に長年携わってきた。
 2013年に明弘食品を設立。14年にジェトロを通じてベトナム水産物輸出加工協会(VASEP)を訪問する機会があり、年間200万t以上養殖されているパンガシウス(ナマズの仲間)と出会う。白身魚としての可能性に着目し、パンガシウスの加工について研究を開始。その結果、17年12月にパンガシウスを原料にしたスリミの製造技術を開発し、特許登録された。
 スリミの評価基準となるのは「ゲル強度(弾力)」「白度」「臭い」など。同社はゲル強度を発揮する加熱法を開発し、通常のスリミのSA・FA級のゲル強度を得ると同時に、圧倒的な加水効果も実現した。白度(白さ)も「SA級以上」と自信を示す。長年培ってきた水産加工の知識と技術を使い、淡水魚特有の魚臭さを除去し、無臭を実現している。
 「スリミ価格が高騰する中、加水効果を発揮するパンガスリミは圧倒的にコストパフォーマンスが高い。日本の蒲鉾業界にぜひ提案したい」と語る。
 同社の「ASC認証パンガスリミ 」は守秘義務契約を結んだベトナムの協力工場で生産している。
 「最高級のスリミに負けない品質で生産するよう心がけている。ASCパンガスリミを原料に使えば、良い商品が手頃な価格で生産できる。役に立つのであれば、カニカマなどの加工技術をサポートしたい」
 日本の大手企業も関心を持ち、商談が進んでいるという。「将来的にはベトナムで最終製品を作り、欧州などに輸出もしたい」

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