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この人に聞きたい:第851回
(週刊水産タイムス:22/09/19号)

シングルシードの価値つなぐ

(株)SEAPAジャパン 代表取締役  吉本 剛宏氏

(よしもと・たけひろ)1968年生まれ、広島県出身。スポーツ用品メーカーで海外営業を経験後、オーストラリア総領事館で約20年間勤務。カキ養殖資材を製造・販売するSEAPA(シーパ、オーストラリア)の日本法人設立に伴い、2018年5月に代表就任。

 オーストラリア総領事館では主席商務官として日豪の貿易・投資の促進に従事。両国がビジネス協業する領域を開拓しつつ、豪企業の日本進出案件を数多く手掛けた。その中で、オーストラリアのカキ養殖の技術を日本に導入するプロジェクトを立案・実施。バスケット(かご)などでカキを一粒一粒バラの状態で育てるシングルシード養殖法が日本の水産業に変革を起こすと確信した。
 SEAPAはカキのシングルシード養殖用のバスケットメーカーであるが、最たる目的は養殖技法の普及にある。設立時からほぼ毎年実施している勉強会「シングルシード牡蠣ネットワーク」ではSEAPA製バスケットの導入の有無にかかわらず、産学官の有識者を招集。国内水産業の課題解決に向けた知識習得や情報交換を促している。
 コロナ禍で2020年の開催は断念したものの、翌年にはオンラインで再開。今年7月にはオーストラリア、米国、日本のカキ養殖をけん引する生産者を講師に招き、世界同時ライブ配信を実現した。グローバル性を維持しつつ、23年のリアル開催をめざす。
 「多くの生産地の間で情報や経験の共有が盛んに行われていることを含め、生産者の協力があってこそ事業が成り立っている。感謝の気持ちを忘れずに突き進みたい」と語る。常に心掛けているのは利益ではなく、“意義と変化”のために働くこと。より効率的な養殖業を次世代に引き継ぐために、大きな決断をしてくれた事業者の覚悟と思いに応えたいと考えている。
 日本法人を設立した頃、一時的な流行とも捉えられていたシングルシード養殖は普及期へ突入した。吉本代表と漁業者が切り拓く未来が待ち遠しい。

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