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この人に聞きたい:第859回
(週刊冷食タイムス:22/11/15号)

ポテト値上げ、これからが本番

ラムウェストンジャパン(株) 代表取締役社長  日野 庄弥氏

(ひの・しょうや)高校時代は野球、早大時代は米式蹴球部(アメフト)に燃える。同業の会社からラムウェストンの前身に移籍。平成13年母校の米式蹴球部監督。2年目でリーグ優勝に導く。昭和32年12月石巻市生まれ。

国際的な争奪戦が続く

 世界的な冷凍フレンチフライポテトメーカー、ラムウェストン社の日本法人の日野庄弥社長は「値上げはこれからが本番」と語る。背景を聞いた。

 ――フレンチフライポテトの品不足は解消されたのか。
 日野 世界的な物流の混乱、トラック運転手不足、米国西海岸のコンテナ船待ち、米国工場の労働者不足は依然続いており、品不足解消の要因はひとつもない状況です。日本だけのことではなく、製品は奪い合い状態が続いており、国際的な価格は上昇の一途です。日本の価格上昇は他国と比べて緩やかで、むしろ本格的な値上げはこれからが本番です。

 ――原料のじゃがいもの収穫量も不振のままなのか。
 日野 2022年産じゃがいもの収量は米国1874万t(前年比0.9%増)、カナダ551万t(3.2%減)、北米合計2425万t(2.4%増)となる見通しで若干の回復傾向にあります。一方、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギーの欧州主要4カ国の収量は干ばつの影響で12.1%減2657万t(EU合計は9.7%減4392万t)、これにイギリスを加えたEU+イギリスの合計は9.8%減4877万tと大幅に減少する見込みです。

 ――世界の需要が旺盛なのに生産量が追い付かず、価格上昇が続いているという構図か。
 日野 冒頭に説明した物流や労働者不足の他、ウクライナ情勢からEUの工場燃油、フライ油が高騰しているのも値上げ要因のひとつになっています。米国産フレンチフライの輸出量は直近1年間(21年7月〜22年6月)で99万8千tと前年同期比2.1%増加。EU産は21年6月〜22年5月実績で10.9%増の206万1千tと大幅に増えていますが、22年のニュークロップは大幅減産の見通しで、増える要素は皆無です。

 ――日本の外食チェーンがポテトを中国産品に切り替えている。
 日野 ラムウェストン社も中国内モンゴル自治区に再来年の稼働をめざし2工場目を建設中です。ここで生産するフレンチフライが日本に届く可能性はゼロではありませんが、人口13億人を超える中国市場に供給するのが精一杯で他国への輸出は難しいでしょう。別件ですが、オランダの50%の合弁会社が11月末で100%ラムウェストン社となり、日本とはコミュニケーションがとりやすくなり、新製品やPBがやり取りしやすくなるのは朗報と言えるでしょう。
 ジャパンも3カ月ごとの価格改定は不可欠で、昨年の2倍近くまで価格を上げざるを得ません。

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