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この人に聞きたい:第903回
(週刊冷食タイムス:23/10/10号)

「我々は新しい問屋に変化する。さらば卸!」

旭食品株式会社 代表取締役社長  竹内 孝久氏

下関市立大卒業後、97年4月太田昭和監査法人(現・新日本有限責任監査法人)入社。2003年4月旭食品入社。09年3月同管理本部財務部部長。同年取締役に。16年4月1日付で取締役社長となり、同年7月1日付で代表権を取得した。高知市出身。1973年6月生まれ、50歳。

 旭食品は創業100周年記念式典を高知市の高知文化プラザかるぽーとで9月21日開催した。竹内社長は式典の中で以下のように挨拶した。

 取引先、当社の従業員とその家族、旭食品のOB達、そしてそのOB達と共に歩まれた方々、皆様のおかげをもって100周年を迎えることができた。
 この100年の意味合いを立ち止まって考えてみた。我々の世代は80周年、90周年を経験したが、創業者の竹内壽亀を知らない世代に入っている。
 だからこそ、まずは現在、商売をさせていただいていることを当たり前のことと思わないこと、「感謝を持つこと」が大事だと考えている。
 2つめは、歴史に学び、先人・創業者精神を学ぶことによって、これから何をしたいのかを考え、声に出し、実行すること。これが今の我々がしなくてはいけない役目。これについては中期経営計画発表で紹介する。
 そこで「感謝」だが、100年は企業と企業、人と人のつながり、ご縁の繰り返しで我々が生かされてきた歴史と考えている。
 ひとつが味の素。初代社長竹内寿明は一流メーカーの特約を取らないと問屋としてスタートできないと考え、何度も足を運んで特約店契約をいただいた。当時、味の素の鈴木三郎助様には「竹内兄弟は和して同ぜずの精神で社業にはげめ」という言葉をいただいた。この言葉はまさに旭食品の原点である。
 もうひとつは四国銀行。当時、同銀行の常務からは「兄弟の考えに違いがあることは良い。ただし、団結を忘れるな」という言葉を頂戴している。創業者の記録にあるが、五島列島の取引先水産会社が倒産して焦げ付きが発生した時に、当時の300万円を四国銀行から担保なしで貸していただいた。「担保はないが、壽亀さんの6人の子供が頑張るなら」というものだった。当然借りたくはないが、拡大のためには借りることをいとわない。これが当社のDNAだと思う。
 100年を通じて得られた経験値は財産であり今後の商売の本質が含まれている。
 本質とは何か。
 まず人とのつながり。それによって投資ができ挑戦ができた。一人ではなしえない。
 2つめは投資の手を緩めなかったこと。これが後々の財産となっている。
 3つめは高知から出たこと。高知から見る首都圏、大阪から見る高知、九州から見る首都圏、アジアから見る高知など、いろいろな角度から見ることが、いろいろなアイデアにつながり発展のヒントになった。
 4つめは収益の柱となるエリアやセグメントがどんどん変わっていったこと。変わるものであり変えることができる。アメーバーのように変わり時代の流れに対応してきた。
 5つ目は高知が本社であること。高知の誇りを持っており、負けん気の強さがある。僻地にあるだけに“東京も海外も一緒だ”という大胆な考え方は本社が高知であるからこそだろう。
 これらの本質を大切にしながらも、今のフォーマットが今後も通用するのか、、強みは未来永劫続くのか、高知という人口減少エリアに対してまだできることはないのか、そうしたこともじっくり考えて実行していきたい。
 中期計画はのちほど発表するが、大事なキーワードは「自由」と私は考えている。わがままや放漫ではない。他を害して私を利するということでもない。多様性、独自性を発揮しながらも相互尊重を持つというハイレベルな「自由」を求めていく。固執したり制限を設けることなく、毎回新たな発想でやっていきたい。
 ここで、100周年を節目に、旭食品グループは新しい問屋に変化する、さらば卸! と宣言する。
 竹内家の家訓は「家業の隆盛は和して働くことを根幹となす それは毛利元就の教訓にならい、一家一族の和協一致 よくその実を挙げるべし」。
 「実を挙げるべし」と、いろいろチャレンジしても最後は絶対に商売につなげなさいと言っている。我々は今後も和をもってどんどんチャレンジしていく。

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