この人に聞きたい:第905回
(週刊冷食タイムス:23/10/24号)
“人とチームの躍動”が好物
味の素冷凍食品(株) 取締役常務執行役員
マーケティング本部長 松本 征之氏
(まつもと・まさゆき)1993年味の素入社。営業、労働組合、人事部を経て東京支社、大阪支社で営業、2021年北海道味の素社長、今年7月から現職。国内統括営業部長を兼務。1970年6月21日生まれ、53歳。関西大経済卒。
日々充実した社会生活
20〜30代は営業、人事畑を歩み、さまざまな人や社内外の組織を目にして「人とチームの躍動」を創造してこそ、自分が社会に携わる意味があると考えるようになり、日々充実した社会生活を送っている。
――味の素入社後の経歴を。
松本 入社してすぐ、岡山の営業所に配属になりました。小さな所帯で周りは親以上に年の離れた大先輩ばかりです。新しい仕事の情報や若手人脈に飢えていて、東京や大阪の支社に電話しては、見も知らない先輩にプレゼンや商談の資料をねだっていました。「ほんだし」のシェアが低いエリアで売上げに苦労し、勝手に川崎工場からかつお節原料を段ボールひと箱送ってもらい、店頭カゴ盛りディスプレイで原料訴求の立ち売りをしたこともありました。ないものは借り、わからないことは聞く。もがきながら、とにかく自分でやってみる毎日でした。
30代は労働組合の役員と人事の仕事。様々な人や組織と深く接しながら、自らのもがき体験も重ね合わせる中で、「人とチームの躍動」こそが自分を突き動かすテーマだと考えるに至りました。
――再度営業に携わっている。
松本 営業でも常に、人とチームの躍動を中心に置いた成果創出にこだわってきました。ありたい姿を語り、仕事の目的や意味を考え、メンバー自らの意思でチャレンジし、力を高めてもらうよう努めてきました。
――思い入れのある商品を。
松本 「クノールカップスープ」ですね。スープで棚割セオリーや提案ロジックを学びました。この商品に育ててもらった、という感覚です。もう1品は北海道味の素時代に、メンバーと味の素AGF本社で共同開発した「ちょっと贅沢な珈琲店」北海道ブレンド。“苦くて深い”という道産子のし好を取り入れた商品です。メンバーを中心に販売戦略も綿密に練り、全国的にも注目される成果になりました。
――味の素冷凍食品の印象は?
松本 メンバー同士の距離が近く、一体感が素晴らしいです。決めたことはみんなでやり抜く強さがあります。
――まさに人とチームが躍動している。
松本 まだまだもっと躍動してもらいます(笑)。一体感の裏表で、同質性の高さは進取や変化の妨げにもなります。多様な知恵を同質が圧する危険もあります。味の素グループはもちろん、異業種やベンチャー企業など、我々とは全く異なる世界観、スピード感で進んでおられる方々からの学びや協業を進めたい。