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この人に聞きたい:第914回
(週刊冷食タイムス:24/01/01号)

業務用は外食・旅行関連で急速回復

(一社)日本冷凍食品協会  大櫛 顕也会長

 

 令和6年を迎えるに当たり、新年の御挨拶を申し上げます。
 皆様方には、日頃から当協会の活動に対しご協力、ご指導を賜り厚く御礼申し上げます。
 2020年初頭から猛威をふるってきた新型コロナウイルス感染について、国内では昨年5月に感染法上の分類が5類に引き下げられ、社会生活や経済活動はコロナ以前の状態にようやく戻りました。世界的にも、同様にコロナの影響がほとんどなくなりました。
 しかし一昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が長期化し、依然として世界経済に大きな悪影響を及ぼしています。侵攻当初はエネルギーや食料の供給減少、価格の急騰などによって世界的なインフレに見舞われましたが、昨年後半頃からこれらの価格は比較的落ち着いた動きに変わってきました。最近では新たに中東をめぐる情勢が緊迫しており、今後の世界経済への影響が懸念される状況となっています。
 日本のGDPを見ると名目では比較的高い水準ですが、実質では低迷が続いています。個人消費はコロナの影響がなくなり旅行客や訪日外国人が大幅に増加したことなどから、外食や宿泊などのサービス消費が回復しているものの、全体として物価上昇もあって実質では弱い基調で推移しています。 消費者物価指数は総合で3%台の上昇で推移しています。その中で食料は8%を超える上昇が続いており、物価全体を引き上げている状況です。また賃金は近年にない引上げ率でしたが、物価上昇率を下回っており実質賃金のマイナスが続いています。以上から今後は賃金水準の動向が個人消費の動向を左右するものと思われます。
 このような中で冷凍食品について、業務用は外食・旅行に関連する業態などでは急速な回復がみられます。一方、家庭用は、価格改定もあって売上金額的には前年を上回っていますが、前述のような経済状況を反映して数量的には前年を下回って推移しています。ほかに外食店の人気メニューなどを冷凍した食品の自動販売機・無人店舗、デパートなどで高価格冷凍調理品販売などが増加し、家庭用市場の更なる変化と拡大が続いています。
 輸入原材料、エネルギー、物流などのコストは最近になって円安の再進行もあり、依然として上昇傾向が続いています。これまで冷凍食品メーカーは数度にわたり価格改定を実施してきましたが、コスト上昇分を十分転嫁できていない状況です。今後も適正な価格転嫁が重要であると考えています。
 CO2、プラスチック、フロンなどの排出・使用の削減、2024年問題に代表される物流の合理化、SDGsなどの社会的要請に対して、冷凍食品業界として適切に対応していくとともに、会員各社が食品企業として社会的責任を果たしていくことが重要です。
 当協会ではコロナ禍の影響により事業活動に多くの制約がありましたが、昨年は十分な事業展開を図ることができました。広報事業では「冷凍食品の日」PRイベント、SNSなどを活用した新たなメディア事業を実施したほか、品質・技術事業では冷凍食品認定制度の円滑な運用に努め、オンラインでも講習会を拡充しました。そのほか環境・物流問題などにも積極的に対応しました。本年もこのような社会経済状況の変化に対応し、冷凍食品産業の一層の発展に資するよう、各事業の効率的な展開を図っていきたいと思います。
 会員各位をはじめ冷凍食品に関係する皆様にとりまして、良い年になることを祈念して新年の御挨拶とします。

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