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この人に聞きたい:第949回
(週刊冷食タイムス:24/09/17号)
植物肉に新機軸打ち出す
DAIZ(株) 代表取締役社長 河野 淳子氏
(かわの・じゅんこ)熊本市医師会検査センターなどを経て15年DAIZ設立に参加し取締役。22年取締役COO生産管理部長。24年1月から現職。銀杏学園短期大学(現熊本保健科学大学)卒。1964年12月熊本県生まれ、59歳。
ハイブリッド戦略で欧州へ
植物肉原料100%ではなく、一部を使用してツナやナゲットなどを製造するハイブリッド戦略こそがBtoC市場活性化の鍵を握ると見る。来年には新工場が完成し、グループ会社が欧州進出の本格化をめざす。
――最近の市場をどう見る? 河野 当社が植物肉市場に参入した2019年は米国ビヨンドミート社がナスダックに上場し、SDGsが世界的な広がりを見せ始めるなど、日本国内も盛り上がるものと大きな期待を寄せていました。しかし、多くの消費者が受け入れるまでにはいまだ至っておらず、風味や食感に対する声を聴くと(消費拡大の)ハードルは高いと感じています。 ただ、世界の人口が100億人を突破すると予想される2050年代には肉や魚などの食料供給が追い付かず、たんぱく質不足が起きると言われています。当社は独自技術(落合式発芽法=特許取得済)で開発した発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を世界規模で供給することをめざしており、原料の一部として肉や魚に混ぜることでBtoC市場の拡大にも貢献できると考えています。
――今なぜハイブリッド? 河野 実は19年当初から前面に打ち出していました。脱脂大豆を使わず、発芽大豆をまるごと使用する「ミラクルミート」は食品メーカー大手に採用されるなどおいしさや風味、食感で高い評価を得ています。しかしながら当時、市場は植物肉100%が主流で、我々もその流れに従っていました。ただ、消費者の声は厳しかった。やはりハイブリッド戦略に立ち返るべきとして提案を強化し、食品、畜肉メーカーとの協業を進めようとしているところです。
――昨年からセブン−イレブン・ジャパンとも協業している。 河野 「みらいデリ」シリーズのツナマヨネーズのおにぎりやナゲットなど10品目以上に採用されました。ツナとナゲットは発芽えんどう豆由来の植物肉です。
――来年は新工場が完成する。 河野 安定供給を目的に生産体制を強化します。延床面積を4倍に拡張し、年間生産能力を2倍の最大8千tに引き上げます。生産ラインを見直して生産効率を高め、一部自動化もめざします。
――海外戦略をどう描く? 河野 DAIZグループで欧州の事業展開準備を進めています。今年1月に設立したグループ会社で、開発型営業に特化したDAIZエンジニアリング(落合孝次社長=DAIZ取締役CTO)がオランダでハイブリッド乳製品の開発を今後進めていきます。
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