この人に聞きたい:第1018回
(週刊冷食タイムス:26/02/17号)
地域密着型の強みを伸ばす
中村角(株) 代表取締役社長 中村 一朗氏
(なかむら・いちろう)旧日本興業銀行から1998年中村角入社。取締役部長、常務、専務を経て2010年から現職。JFSA(日本外食流通サービス協会)会長も務める。1968年8月広島県生まれ、57歳。東京大学経済学部卒。
「藁焼きサーモン」好発進
地域密着を掲げ、独自商品の開発に力を入れている。春夏展示会では「藁焼きサーモン」を披露し注目を集めた。中村一朗社長は「大手とは違う土俵で勝負する」と語り、小回りの良さで競争優位性を築く姿勢を示す。
――「藁焼きサーモン」(冷凍ロイン)を昨年夏発売した。
中村 高知県の食品企業と共同開発したオリジナル商品です。四万十川流域の米藁だけを使い、職人が一本ずつ手焼きしています。おかげさまで量販店や生協などに採用が広がっています。自動車部品メーカーの給食では、いかの刺身と一緒に盛り付けて「紅白海鮮丼」として提供し、社員から好評を得たと聞いています。
――4〜12月業績の進捗は?
中村 外食や給食、老健などの業務用と水産が伸びており、売上高は前年比105%で推移しています。利益は前年並みです。
――業務用が好調の要因は?
中村 当社の強みである提案力もありますが、単価が上がっていることが大きい。ただ、この業界はおそらくどの企業も単価アップの数量減を強いられていると思います。数量が前年並みであれば収益はもう少し伸びるはずです。
――最近は価格転嫁が難しくなっている?
中村 量販店などは相見積もりのラッシュです。売上げを獲得するためには単価を下げざるを得ない。売上げのトップラインが伸びているから経常利益などは前年並みを確保できています。
――コスト削減の取り組みは?
中村 設備投資を伴いますが、物流の機械化や受発注のデジタル化など業務プロセスの見直しはすでに進めており、明らかに生産性向上などの効果が出ています。今後は自動倉庫の新設も検討するつもりです。
――保管能力を増強する?
中村 本社の倉庫以外に現在は営業倉庫を使っていますが、とにかく庫腹が足りない。値上げが止まらず、アナログ作業も多い。この際、自動倉庫や仕分けシステムなどの最新設備を使って効率化とトータルコストの削減を進めようと考えています。
――競争環境が激しさを増す中、地域卸の役割とは?
中村 地域のお客様の役に立つ−−。これに尽きます。ただ、在庫仕分けや配送などの機能だけでは生き残れない。大手とは違う土俵で勝負する必要があります。商品・情報の安定供給に加え、地域に眠る食材や良品を発掘して育てるなど、小回りの良さを活かし、地域の企業とお客様をつなぐことも重要な役割です。