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今週の一本

●異物混入防止の犠牲のままで良いのか 去石誠一 (週刊冷食タイムス:05/05/10号より)

加工食品の原料として使われている野菜に、どれだけ本来の栄養分が残っているかをメーカーに再点検して欲しいと願う。単に原材料として含まれているだけで、野菜本来がもつ旨みや栄養素が失われていないだろうか、と心配している。

以前にも本欄で触れたことがあるが、中国など冷凍食品の生産現場を取材していると「そこまでやるの?」と思わず叫びそうになる洗浄場面に度々出会う。野菜を切り刻んでから水にさらせば、当然、本来の栄養分は流出する。 そればかりか、風味が飛ぶのも否めない。

どれだけ新鮮な野菜を厳選使用しても、こうした無理な工程を通せば確実に原料の品質は落ちる。こうした現象を食品のプロ集団であるメーカーがわからないハズはない。

異物の混入があればペナルティーが課せられる食品業界にあっては、徹底した防止策は欠かせない。しかし「消費者が気にしているのは、どんな野菜が入っているかで、栄養分は二の次」という考え方で良いのだろうか。

身近な例でいうと、トンカツ屋のキャベツによく似ている。来客があってからキャベツを千切りにしている店は多くない。ましてや昼時の混雑時には無理な注文かも知れない。客がシナシナになったキャベツに満足するはずもなく、勢い水にさらして失った水分を補給して歯応えと見栄えを良くする。

キャベツは「ビタミンCの宝庫」と言われる野菜だが、これを切り刻み、水にさらせば水溶性のビタミンCがどうなるか。またキャベツの糖度は平均して五度と言われるが、加工後に甘味を感じる例は少ない。グルタミン酸などの遊離アミノ酸も豊富なはずなのに、旨みも感じない。

「悪いことだ」とまでは言わないが、本来の姿ではないのは明白。
客はまずいものを望んでいるわけではない。「おいしく食べて頂く」ためにも、原料加工の見直しは必要だろう。


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