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今週の一本

●06年Aシーズン 米国スリミ事情を探る  松田陽平 
(週刊水産タイムス:06/01/30号)

さらなる値上げ求める声も。
母船、陸上でスリミ減産か。

1月20日から米国アラスカでスリミの原料となるスケソウダラ漁のAシーズンがスタートした。昨年はA、Bシーズンともにスリミ価格が値上がりし、国内のねり製品メーカーが実質的な値上げに踏み切ったが、米国の生産者は昨年を振り返り「いい年だった」と口を揃える。
 依然、欧米のフィレ市場は強く、スリミからフィレの生産比率を高める生産者も増えている。燃油高騰、海運輸送コストの増加もあいまって、スリミ価格にもプレッシャーがかかりそうな気配。Aシーズンのスリミ価格の動向、生産者のスリミに対する生産意欲はどうか。シアトルのスリミ工船会社、陸上生産会社などを訪れ、スリミ生産事情を取材した。

 昨年Aシーズンにスリミ価格はFA級300円と10%も値上がり、さらにBシーズンには10%アップしFA級330円に達した。欧州、米国向けのフィレの値上げにともない引き起こされた値上げだ。フィレ価格は昨年Bシーズン終了後の12月にも値上げをするなど、その勢いは止まらない状況。需要に対して供給が全く追いついていない。特に「欧州向けのフィレ(PBO)がショートして、より付加価値の高いディープスキンフィレの価格を上回ってしまっている」(陸上生産会社)という。フィレ価格は昨年Bシーズン(約2・7ドル/kg)からAシーズン(約2・9ドル/kg)と7〜10%ほど値上げしている。
スリミ生産者によると、Aシーズンのスリミ供給量は「工船はほぼ昨年並み。母船はH&Gを増やす分、若干減産。陸上工場はフィレシフトが進み、減産するのではないか」(加工船会社)という。
 気になるのはAシーズンのスリミ価格だ。「昨年と異なりフィレ価格とスリミ価格を切り離して考える方向に変わってきた」とする意見もあるが、フィレ価格の上昇は無視できない状況だ。生産者としては日本向けのスリミ価格が安定的に今の価格レベルを維持できることを望んでいるようだが、燃油や海運輸送費などのコスト増を理由にスリミ価格のさらなる値上げを見込んでいる生産者も少なくない。

フィレシフト進む、上級スリミも欧州へ
フィレ生産にシフトする傾向は変わっていない。スリミは受注生産のみの大手パッカーは「上級品だけみると前年比5割減、低級品含めると3割減のスリミ生産」にする計画だ。スリミ生産に軸足を置く日系水産会社も「欧州向けフィレの生産を増やすため、スリミは若干減産。フィレの販売も積極的に行う」とした。また、米国内大手ファストフード店にフィレを供給するパッカーもショートしないように陸上工場のフィレラインを1ライン増設して、Aシーズンに臨んでいる。
また、フィレ市場との競合だけでなく「日本市場は日本以外のスリミ市場(欧州、韓国など)との競争も激化している」(加工船会社)。
 日本のねり製品メーカーは国際競争力が求められている。一部の生産者は日本の複雑な流通構造について「欧州に比べ、販売するのに3倍のコストがかかる。流通コストが競争力を落としかねない」と指摘する。


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