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今週の一本

●コスト上昇の中でデフレ特売 疲弊する生販三層 
協調して打開策を講じるべき  越川  宏昭
(週刊冷食タイムス:07/1/1号)

めざすは商品価値の向上という王道

 冷凍食品業界は生産・流通・販売のコストが上昇するなかでデフレ・特売が続き、生販三層ともに疲弊している。今こそ効率的な生産・流通を実現するとともに付加価値のとれる商品を開発導入することで適当な収益を確保するべき。それには冷凍食品メーカーだけの力には限界がある。問屋、量販店、外食ユーザーなど生販三層が協力、英知を集めて合理的な事業構築を図る必要がある。

 06年5月29日のポジティブリスト制度施行に伴い、輸入冷凍野菜の検査費用は間違いなく増えている。製品事故に関する回収費用やお詫び広告の経費も少額ではない。

 原料面でも冷凍食品業界を取り巻く情勢は厳しい。たとえば水産原料。国際的な水産原料の争奪戦で日本企業が「買い負ける」ケースが続出。世界的な天候異変も原料供給の逼迫(ひっぱく)に拍車をかける。農産、水産、畜産原料にも直接・間接的に影響している。

 諸コストが上昇している中で「下がっているのは末端の売価のみ」と言われる。卸売り物価は依然として低調、コストインフレ・末端価格デフレという矛盾した産業構造が続いている。
 こういったデフレ基調に追い討ちをかけるのが量販店で行なわれる全品一律割引特売である。全品特売は確かに集客力を発揮し、特売日は通常の3倍売れるという。
 昨今は毎週のように四割引、時に五割引も出てきた。安売りに依存しだすと、安売りの頻度や幅をエスカレートせざるを得なくなるのである。しかし、これも行き詰まりをみせはじめた。
 諸コストが上昇したことで、メーカーは量販店や問屋から出される販促費の要請に十分には応じられなくなった。これまでのような薄利多売では上昇するコストを吸収できない。これでは再生産にまわすゆとりなど生まれっこない。

 安売りせずとも売れる冷凍食品にしないといけない。いまや販促費の見直し、物流費の削減、利益の取れる独自商品の開発などは喫緊の課題である。

 日本冷凍食品協会の垣添直也会長は、大幅な割引セールの横行について「まるでマジックショーを見ているようだ」と表現する。
 もちろん冷凍食品はマジックではない。四割引して儲かるようなうまい商売ではない。どこかに無理がシワ寄せされているのである。よしんば四割引を想定して価格設定をしているとするならば、それは消費者への欺瞞行為にほかならない。
 原料・資材価格が上がる、原料調達が逼迫する、しかし末端価格が上がらない。こういうときこそ、メーカーの力が試される。前述の「上げ底」価格のような誤魔化しではなく、商品価値を高めて消費者の支持を得るという王道を突き進むべきである。

 消費者の満足度を高めることで、ひいては生販三層が潤う事業に変えていくべき。そのためにも価格に見合った商品価値をもっているかどうかを自ら問い直し、了とするならば自信をもって適正価格を主張すべきである。


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