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今週の一本

●戸倉SeaBoys Fish−1GP 2連覇達成!  松田陽平 (週刊水産タイムス:26/01/01号)

ファンを増やし地域に貢献 自ら発信し、つながる

 宮城県南三陸町戸倉地区の若手漁師4人で結成したグループ「戸倉SeaBoys」は日比谷公園で昨年12月開催された「Fish−1グランプリ」(国産水産物料理コンテスト)で2連覇を達成した。グランプリ受賞が決定した瞬間、観客席で応援していた仲間から大きな歓声が上がったのが印象的だった。

昨年12月のFish−1グランプリ表彰式後に記念撮影
(左から三浦氏、佐藤氏、後藤伸弥氏、
後藤新太郎氏)
グランプリを受賞した「漁師が丸ごと包んだ!海の幸ごちそうタコス」
人気が高いファンミーティングの様子
 東北各地の食材の魅力を紹介し、生産者と消費者をつなぐ「東北食べる通信」(2018年2月号)に戸倉のカキが取り上げられ、交流イベントを開催したのをきっかけに戸倉SeaBoysが結成された。結成の目的は「食べる人とつながること」。交流会の2カ月後、18年6月には南三陸町戸倉で戸倉SeaBoys主催のファンミーティングを初めて開催した。
 戸倉SeaBoysの活動はファンミーティングなどの交流会のほか、SNSなどによる情報発信が主体。メンバーの4人はそれぞれカキ養殖やギンザケ養殖、潜水漁などを行う漁業者であるため、SNSの発信やイベント開催などはボランティアのスタッフが協力し、支えている。

南三陸の水産物や漁業者を知って欲しい

 リーダーの後藤伸弥氏(41歳)は高校卒業後に家業のカキ養殖を始めたが、東日本大震災後はしばらく戸倉を離れ、別の仕事にたずさわっていた。父・清広氏の地元での新たな取り組みを見て、漁師の道へ戻った。
 父・清広氏は戸倉カキ部会長として、環境負荷を抑えるため、震災前の約3分の1以下までカキの養殖いかだを削減する「戸倉っこかき3分の1革命」に着手。独自のポイント制を導入し、後継者のいる漁業者に優先的に漁場を割り振るなど、持続可能なカキ養殖を実現した。「戸倉っこかき」は2016年に日本初となるカキ養殖でASC認証を取得した。
 佐藤将人氏(39歳)は京都の老舗料亭や仙台の和食料理店などでの料理人を経て、2020年にUターンで戸倉に戻り、家業のギンザケ養殖業を継いだ。戸倉SeaBoysへの参加は21年6月から。料理人の経験を生かし、加工商品のレシピ監修なども行っている。
 後藤新太郎氏(38歳)は高校卒業後に約40年続く家業のカキ養殖を継いだ。主に1年物のカキを生産しており、むき身だけでなく、殻付きカキの生産にも取り組んでいる。
 メンバー最年少の三浦将平氏(32歳)は震災復興のための防潮堤工事をきっかけに戸倉へ戻った。ウニやナマコの潜水漁やタコ漁などを行っている。
 結成時にグループ名を考えたのは三浦氏。メンバーがアイデアを出し合って、最終的に選ばれた。結成からもうすぐ8年が経過する。後藤(伸)氏は「今ではボーイズではないと言われることもあるが、それだけ長く活動しているということ」と笑う。
 戸倉SeaBoysの活動について後藤(伸)氏は「自分たちが生産している南三陸や宮城県のおいしい水産物を多くの人に知ってもらうとともに、その食材や漁業者について知ってもらい、少しでも食に対する興味を持ってもらいたい」と語る。
 2018年6月の開催以降、毎年ファンミーティングなどを開催してきた。対面で人が集まれなかったコロナ禍は、オンラインでのファンミーティングで乗り越え、22年9月に戸倉でのファンミーティングを再開。それ以降、毎年9月に開催している。
 ファンミーティングではカキの養殖施設などの見学や、メンバーによるトークショー、ミニレクチャーなどにより南三陸町の漁業や水産物などについて知ってもらい、その後は4人が生産したカキやギンザケ、ウニなどの魚介を使った料理を食べながら交流する。
 「法改正により船に乗っての漁場見学ができなくなったため、今年はカキの殻むき体験などを行った」(後藤伸弥氏)。
 ファンミーティングの参加者は毎回25人前後。関東エリアを中心に、口コミで知った人や常連さんが友達を連れて参加するなど、結成約8年で参加者の輪が年々広がっている。
 ファンミーティングの参加予約を開始すると、今ではすぐに上限人数が埋まってしまうほどの人気。リピーターが約3分の1で、そのほかは新規の参加者がほとんどだという。

活動は次のステージへ 地元企業とコラボ、町の魅力を発信

 後藤(伸)氏は今後について「次のステージに来ている。我々が生産しているカキやギンザケなどにとどまらず、南三陸町で生産している野菜などを含めて、この町の魅力を発信していく。地元の企業とも積極的にコラボレーションしたい」という。すでに地元の水産加工会社と連携したコラボ商品も販売している。
 佐藤氏は「南三陸町に移住してもらうのは簡単ではないが、遊びに来てくれる人を増やし、交流人口を増やすことで地域活性化に貢献したい。今後も地道な活動を続けていくだけ」と語る。
 グループの活動に賛同してくれる企業も多く、ファンミーティングなどのイベント時に大手ビール会社も協賛してくれている。
 戸倉SeaBoysのFish―1グランプリ出場は3回目。初出場の第9回大会(2023年)では戸倉産カキを使ったホットドッグ「戸倉っこかきドッグ」を出品し、惜しくも準グランプリとなった。24年開催の第10回大会で「〜漁師考案〜旨みたっぷりみやぎサーモンと牡蠣のバターピラフ」を出品し、念願のグランプリを受賞。昨年11月の第11回大会で2連覇を達成した。
 グランプリを受賞した「漁師が丸ごと包んだ!海の幸ごちそうタコス」のレシピを開発したのは料理人の経験がある佐藤氏。
 「今回は2連覇をめざして、『戸倉SeaBoys』の集大成となるメニューを開発した」とかなりの気合を入れてレシピを考えたという。
 メンバー4人がそれぞれ生産するワカメやカキ、ギンザケ(みやぎサーモン)、タコ(志津川だこ)を素材に使うとともに、廃棄するメカブやカキ殻を肥料として有効活用して育てたケールやバジルをタコスのソースに使った。
 グランプリ当日は、ファンミーティングなどに参加してくれた人などを含めて約100人の関係者が応援に駆け付けた。タコスを販売するキッチンカーの前で呼び込みをしてくれる人もいて、2連覇達成をサポートしてくれた。

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